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『紅白』歌手別視聴率「下位」隠蔽の怪…なぜ芸能事務所もメディアもこぞって「隠す」のか?

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NHKホール(「Wikipedia」より/Abcc0123)
 都合の悪いことにはフタをする体質は、スポーツ紙にまで及んでいる――。


 昨年大みそかに放送された『第66回NHK紅白歌合戦』の平均視聴率は、前半34.8%、後半39.2%(ビデオリサーチ調べ/関東地区、以下同)に終わり、後半の視聴率は紅白が2部制になった1989年以降で最低となった。

 実は2013年放送回まではスポーツ紙などに全歌手別視聴率が掲載されていたが、14年放送回以降は上位のみが掲載されるようになった。なぜわかるはずの下位まで公表されなくなったのだろうか。芸能界関係者が話す。

「昨年と今年は上位数名だけで、低い順位は発表されませんでした。その背景には、大手芸能事務所からの働きかけがあったようです。低視聴率の歌手が所属する事務所がその数字を公にされたくないのは当然でしょう。だからといって、『出すな』と圧力をかけるのはあまりに大人げない。それ以上に、応じるほうが情けないですよ。スポーツ紙を支えているのは、お金を払って購読している読者です。知る権利といったら大げさですが、読者が知りたいと思う情報を届けることがスポーツ紙の役目でしょう。それなのに、芸能事務所の顔色をうかがってばかりいる。これでは、部数が低迷して当然ですよ」
 
 そもそも、歌手別視聴率の下位が判明することはそんなにマズいことなのか。

「視聴率がわからなくなることは、歌手自身にも悪い影響を及ぼします。低かったら次は高くなるように改善すればよい。それなのに事実を隠蔽してしまったら、奮起する材料が消えてしまいます。それに、もし最低視聴率の歌手がいずれ最高視聴率を獲得したら、そこにひとつのドラマが生まれる。世間はそのドラマに惚れてファンになる。そういう物語を、芸能界は自ら放棄してしまっているのです」(同)

 たとえば、SMAPはデビューシングルでジャニーズ事務所としては珍しくオリコン1位を獲得できず、2枚目では10位まで下落。12枚目の『Hey Hey おおきに毎度あり』でようやく1位になれた。

「明確に悪い数字が公表されたからこそ、メンバーたちは屈辱を晴らすために試行錯誤を繰り返し、国民的スターにのし上がったのです。そして、うまくいかなかった初期を知っているからこそ、ファンはより惹かれる。かつて中森明菜は、『スター誕生!』で3度目の挑戦でようやく合格を果たしています。人々はタレントが挫折から這い上がる姿にみずからを重ね合わせることで、共感を覚える。それなのに、芸能界は今、競うことを放棄して都合の良い部分しか見せなくなりつつあります。そして国民的番組である紅白の明確な数字を、芸能界と密接な関係にあるスポーツ紙が掲載しなくなれば、人々の関心が薄れることで芸能界の地盤沈下がより深まってしまうでしょう」(テレビ局関係者)

 スポーツ紙の英断に期待したい。
(文=編集部)