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小林敬幸「ビジネスのホント」

小資金でも地味でも勝ち続ける「広島式」の秘密!カープ、パフューム、マツダ…

文=小林敬幸/『ビジネスをつくる仕事』著者
小資金でも地味でも勝ち続ける「広島式」の秘密!カープ、パフューム、マツダ…の画像1「サンフレッチェ広島 HP」より

 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)のサンフレッチェ広島が、12月10日から20日にかけて行われたFIFAクラブワールドカップジャパン2015で、堂々の3位になった。広島を本拠とする自動車メーカーのマツダは、日本カー・オブ・ザ・イヤーを2014年、15年と2年連続で受賞した。テクノポップミュージックのPerfumeは、広島から活動を始め、今や世界的に人気の高い数少ない日本人ミュージシャンの一組だ。プロ野球・広島東洋カープも首都圏に「カープ女子」が出現するほど人気が定着している。

 このように広島のチームと組織は、予算や規模が大きな東京勢よりも素晴らしいパフォーマンスを見せて成功している。これらの共通点を「広島システム」として探り、地方創生や企業の成長戦略で見倣えるようにしてみたい。キーワードは「広島に倣え!」だ。

 先のクラブワールドカップにおいて、サンフレッチェが3位決定戦で勝った中国の広州恒大淘宝足球倶楽部は年間予算が約500億円といわれ、元ブラジル代表監督ルイス・フェリペ・スコラーリ氏を擁し、元ブラジル代表をはじめ、韓国代表や中国代表に名を連ねる選手がずらりと並ぶ豪華な布陣だ。

小資金でも地味でも勝ち続ける「広島式」の秘密!カープ、パフューム、マツダ…の画像2『ビジネスをつくる仕事』(小林敬幸/講談社現代新書)

 その広州恒大に勝ったサンフレッチェは年間予算31億円で、直近の日本代表にはひとりも呼ばれていない。そのようななかでリーグ優勝を果たし、世界でも3位という結果を残した。サンフレッチェは毎年のように主力選手を浦和レッドダイヤモンズ(レッズ)などの強豪チームに引き抜かれても、若手選手を育てながら勝ち続けてきた。その手腕から、いまや名将ともいわれ始めた森保一監督も、チームが指導者として大切に育ててきた人である。

 対照的に、レッズが豊富な資金を使ってサンフレッチェから主力選手を引き抜いても勝てないのをみると、サンフレッチェの経営のうまさが際立ってみえる。レッズは、たくさんの選手を引き抜くよりも、サンフレッチェのフロントチームを引き抜いて現経営陣と入れ替えるほうが最高のチーム強化策なのではないかと皮肉のひとつも言いたくなる。

「広島システム」の特徴とは

 それでは、ここで広島システムの特徴をみてみよう。

(1)身の丈を知る経営

 広島システムの第1の特徴は、自分の身の丈に合った戦略だ。サンフレッチェもカープも、関東、関西、名古屋など大都市のチームには、資金力と選手層で到底かなわない。決してスター選手をかき集めたりせず、自分たちの身の丈に合った選手の集め方とチーム戦術を採用している。

小林敬幸/『ふしぎな総合商社』著者

小林敬幸/『ふしぎな総合商社』著者

1962年生まれ。1986年東京大学法学部卒業後、2016年までの30年間、三井物産株式会社に勤務。「お台場の観覧車」、ライフネット生命保険の起業、リクルート社との資本業務提携などを担当。著書に『ビジネスをつくる仕事』(講談社現代新書)、『自分の頭で判断する技術』(角川書店)など。現在、日系大手メーカーに勤務しIoT領域における新規事業を担当。

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