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その仕事、タダ働きですよ!どうやって会社に請求?制服の着替え、仕事の準備作業…

構成=編集部
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 この判例では、工場労働者が始業時と終業時に作業着や保護具等の着脱が義務付けられていました。これに必要な時間は「労働時間」にあたるとしつつ、休憩時間中は使用者が労働者を業務から解放して休憩時間を自由に利用できる状態に置けば足りることから、作業着や保護具等を着脱する時間は「労働時間」にあたらないとしています。業務上必要不可欠な作業か、労働者が任意の選択で行う作業かどうかで区別されます。

 塾講師の授業準備であれば、授業に関する報告書を作成する時間は労働時間に含まれますが、講師がすでに持っているはずの知識を確認する時間は労働時間に含まれないことになるでしょう。

–塾講師が授業時間以外に作業をしていたことは、どうやって証明すればいいのでしょうか。

佐藤 作業開始と終了の日付と時刻、作業場所、作業内容、作業結果などを記録し、保存しておく必要があります。自分の作成したメモであっても、客観的に見て自然だと思われる時間帯に、合理的な長さの作業時間と作業内容が、継続的かつ反復的に記録されていれば、作業をしていたことの証拠として認められます。作業結果を成果物として残してあれば、より有力な証拠となります。

–塾業界以外でも、労働者の準備作業等を労働時間に含めるべきとの議論があり得るのでしょうか。

佐藤 もちろんあり得るでしょう。店舗の開店前及び閉店後の作業時間や制服等の着脱時間、拘束された自宅待機時間なども、本来の業務遂行に必要不可欠な作業時間であれば、使用者の指揮命令下にある時間として労働時間に含まれるといえます。逆に、本来の業務遂行に必要不可欠といえず、労働者が自己啓発の目的などで自発的に行っている作業時間は、使用者の指揮命令下にあるとはいえないので労働時間には含まれません。会社によっては、将来の紛争に備えてきちんと検討すべき場合もあるでしょう。

–準備作業を時間外や休日に行ったら、割増賃金を請求できるのでしょうか。

佐藤 時間外や休日労働に関する労使協定があることを前提に、1日8時間、週40時間(一部業種の小規模事業所では44時間)を超えた労働時間があれば、使用者は原則として割増賃金を支払う必要があります。労使協定がなければ労働基準法違反になりますが、労働者の割増賃金請求ができないわけではありません。本来の業務時間に準備作業時間を含めた場合に、このような法定の労働時間を超えるなら、原則として割増賃金の請求が可能です。また、午後10時以降の労働も深夜労働として割増賃金の対象になります。

–ありがとうございました。
(構成=編集部)

【取材協力】
弁護士 佐藤宏和
事業再生、M&A分野に強いセンチュリー法律事務所の所属弁護士。弁護士登録以前に、ソフトバンク、SBIホールディングス等で子会社の上場や、代表者として子会社を経営した経験を持つ。ソフトバンク在籍中に米国公認会計士試験に合格するなど、会計実務にも通じる。
http://century-law.com/lawyers/hirokazu_sato

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