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ツタヤ図書館、民営のカフェ設置に巨額税金投入の疑惑…館管理費用が市直営の2倍

文=日向咲嗣/ジャーナリスト
ツタヤ図書館、民営のカフェ設置に巨額税金投入の疑惑…館管理費用が市直営の2倍の画像1質問をする山口良樹議員

 1月13日付当サイト記事『ツタヤ図書館、応募資格を満たしていないことが発覚!運営開始直後に資格要件の認定証を返上』にて紹介したが、昨年12月15日に開催された神奈川県海老名市議会第四回定例会では、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が指定管理者となって運営している通称「ツタヤ図書館」、市立中央図書館に関する討論が紛糾した。

 質問に立った保守系無会派の山口良樹議員は、指定管理者への応募資格であった、個人情報保護の体制を整備していることを証明するプライバシーマーク(Pマーク)をCCCが返上し、独自基準で個人情報の取り扱いをしていることを厳しく追及した。

 だが、山口議員が追及したのはそれだけではなかった。むしろクライマックスは、市立中央図書館のリニューアル工事にかかわる費用についての質疑だった。「爆弾」と名づけてもいいような質問が続いて繰り出された。

 同じCCCが運営している佐賀県武雄市図書館では、改修費総額7億5000万円のうち、3億円をCCCが負担した。これに関連して昨年9月の海老名市議会において、海老名市での負担割合を尋ねた質問に対して海老名市側は、「改修費は全額で約11億円を市が負担した」と回答していた。ところがその翌日「2億4000万円は、カフェや書店のテナントとして入居するCCCサイドが負担している」と答弁内容が一転したことを山口議員は指摘し、こう問いただした。

「2億4000万円使ったところっていうのがわからないんですよ。わたし、聞いたの。実は、躯体を担当した建設屋さん、わたしも懇意にしているから聞いたの。専務に。そしたら、いや、そんな2億4000万円かけた工事なんて知らないっていうんですよ。どこですか?」

 この単刀直入な質問に対して、ほとんどの質問を市長と教育長に代わって答弁している教育部次長が、もういい加減ウンザリともみえる態度でこう回答した。

「さきほども議員さんも同じ話をされていましたけれども、私は2億4000万円というふうに聞いてございます。ただ、内訳については詳細については存じ上げません」

 次長はそうまくしたてた後、少し冷静になってこう続けた。

「今回の改修につきましては、えーと、カフェ部分について、こちらについては目的外使用ということで、管理者、CCCですね。CCCが、あー、そこの部分についての工事費をもってます。あのー、その後一階と四階の什器類、書棚であるとか、もしくは本を並べているように什器などもありますけれども、それらについても、すべて指定管理者側が、CCCがですね、えーっ、そのー事業費をもっていると。それ以外についてはですね、これは繰り返しになりますけれども、市のほうでは予算のほうでは支出してございません」

説明がしどろもどろな次長

 そんな説明では到底納得できない山口議員は、さらに舌鋒鋭くこう追及した。

「だって、2億4000万円の大工事をやってるんですよ! テナントさんが入って工事をする場合ですね、大家さんである海老名市がどこの工事をするんですかって聞くのは当たり前じゃないですか。躯体の中いじるんですよ。それと同時にリニューアル工事が進行しているんですよ。知らないってわけにはいかないでしょう」

 すると次長は、さっきとは打って変わって神妙な態度でこう答弁をした。

「すみません、ちょっと説明のほうが不十分だったかもしれません。えーと、図書部分については、書籍部分については什器類はすべて指定管理者側です。で、カフェ部分についてはですね、その床であるとか、壁であるとか、もしくは空調についても、これは独自のものが必要であると、また、給排水についても独自のものが必要であるということで、その、いわゆる目的外、カフェ部分については、指定管理者CCCが支出しているということでございます」

 そんな子供騙しの説明をいつまで続けるのかといわんばかりの調子で、山口議員は続けて不満をぶちまけた。

「だから、そこの部分がぜんぜん見えてこないんですよ。2億4000万の工事をしたという、その部分がぜんぜん見えてこない。でね、(躯体工事を担当した)建設会社は、当然、その2億4000万円の外注で工事が入っているとするならば、打ち合わせするわけじゃない? 民業部分のここは、いつからいつまでどこの業者が入るからよろしくねって。ぜんぜん知らないんだよ、建設会社は。市もわからないって、じゃあ、この2億4000万円ってなんなのこれ? まったくわかんない。こんなことやってたらねぇ、はっきり言って、11億円かけたリニューアル工事の中に入っていると思われてもしょうがないでしょ?」

 この後、一度は民業部分の工事も含めて11億円全額負担したと答えたにもかかわらず、どうして翌日になって「民業部分はCCCが負担した」と発言を翻したのかと、山口議員は追及した。すると次長は、「11億円の中には、カフェ部分や図書、書籍部分については一切入っていない」と繰り返すのみで、説得力のある話は出ないまま、時間切れで次の質問に移ってしまった。

 山口議員は、筆者の取材に対して、こうコメントした。

「市側は、議会でCCCの擁護や弁護に終始していて、どうしてそんなに寛大なのか不思議でなりませんでした。市長が何か密約でも交わしているのかと疑いたくなります。市立図書館における5年間の指定管理料は16億円で、直営時代の倍になっているんですよ。サービスの質は悪いのに管理料は高いとなると、なんのための指定管理なのかわかりません」

 CCCが運営するツタヤ図書館は、次々と新たな疑惑や不祥事が湧き上がるが、それら重大な問題が何ひとつ解決することがないまま、「お洒落なブック&カフェ」をめざして訪れる物見遊山の来館者で今日も賑わっている。
(文=日向咲嗣/ジャーナリスト)

日向咲嗣/ジャーナリスト

日向咲嗣/ジャーナリスト

1959年、愛媛県生まれ。大学卒業後、新聞社・編集プロダクションを経てフリーに。「転職」「独立」「失業」問題など職業生活全般をテーマに著作多数。2015年から図書館の民間委託問題についてのレポートを始め、その詳細な取材ブロセスはブログ『ほぼ月刊ツタヤ図書館』でも随時発表している。2018年「貧困ジャーナリズム賞」受賞。

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