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雨宮寛二「新・IT革命」

新技術は、一歩間違えれば人類を誤った方向に導く…ドローン、世界的に管理の動き

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「Thinkstock」より
 政府がドローンを登録・管理する動きが加速化しつつある――。


 ドローンの普及促進と安全性に配慮した国の制度の枠組みづくりで先行したのは米国であった。米政府は従来、ドローンの商用利用については一律に禁止してきたが、産業界からの要請により、2015年2月に条件付きで商用利用を認める決定を下した。この決定はまさに、今後ドローン市場を牽引するのが商用利用であるとの点を見据えたものであった。

 一方でドローンの個人利用についてはこれまで規制をかけることはなかったが、15年12月に米連邦航空局が個人向けドローンの登録義務付けを発表し、今年からオンラインによる機体登録が義務付けられるようになった。

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 こうした米国の動きをしのぐ勢いを見せているのが、日本である。15年12月には、東京23区といった人口集中地区や空港周辺などでの飛行を許可制にする改正航空法を施行し、無秩序な状態が改善される嚆矢となった。

 また、改正航空法に続き、電波法の見直しも進められている。現在ドローンの操作にはWi-Fiなどの無線LANが利用されているが、インターネット利用増加による帯域混雑に伴い繊細な画像を送りにくい状況にある。ドローン専用の帯域を確保するとともに、電波の出力規制を緩和する方向で、総務省が今年の夏をめどに電波法の改正を目指している。

 このように政府がドローンの法制度化を急ぐのは、まさに産業での利用拡大が見込まれるからであるが、一方で、テロや犯罪に悪用される可能性についても見過ごすことはできない。規制や法制度の難しさは、新技術の普及促進と安全性のバランスをいかに取るかにある。

 技術の進歩は、便益や利便性の向上という恩恵を、われわれ消費者にもたらしてくれる。テクノロジーに新たな可能性を見いだせるか否かは、その本質を見抜けるかどうかであろう。新技術との向き合い方を一歩間違えれば、人類を誤った方向に導く。

 ドローンの実用化には、まだ多くのハードルが残されている。すなわち、重量や運送能力などの機体仕様の統一、飛行方法、飛行時間や飛行場所の設定、操作者の技量、免許制の導入、事故後の賠償や保障制度、さらには、人的被害をなくすための安全性の確保などである。

 なかでも安全性の確保は、最優先に検討すべき問題であろう。落下することを前提にリスクを減らし、危険性を最小限にとどめる方向性を模索する必要がある。

 ドローン実用化のための新たなルールづくりは、始まったばかりである。新産業を後押ししつつも、悪用防止や安全性の視点にも目を向けたルールづくりが期待される。
(文=雨宮寛二/世界平和研究所主任研究員)