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これぞ医療の観点で見つめた世界史ーー『千年医師物語』は知的興奮に満ちた快作だ

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【リアルサウンドより】

 中世のヨーロッパでは理髪師が外科医の仕事も兼ねていたーー。確かに、そんなトリビアはどこかで耳にした記憶がある。しかしそれを具現化した映画なんてこれまで触れたことがあっただろうか。

 『千年医師物語〜ペルシアの彼方へ〜』は破格のスケールを持った医学冒険映画である。医学と冒険、そんな対極にあるようなワードが一体どうやって結びつくのか訝しむ人もいるかもしれないが、まあ言うなれば『JIN -仁-』や『赤ひげ』の舞台設定をずっとずっと昔の中世のイングランドへと遡らせ、なおかつ『アラビアのロレンス』や『キングダム・オブ・ヘブン』のような壮大さを加味したような、極めてスクリーンサイズに適した一作なのだ。

 驚くべきことに、80年代に世界的ベストセラーとなったノア・ゴードンによる原作を、ヨーロッパ映画としては破格の3600万ドルを投じて映画化したのは、何とドイツ人である。そうこれはドイツ映画界が総力を結集して作り上げた、紛れもないドイツ映画(ただし、使用される言語は英語だ)。ハリウッドのスペクタクル・ロマンに比べても圧倒的な絵力があり、そして何よりもそのストーリーに否応なく知的好奇心を掻き立てられる。よくぞこれほど盛りだくさんの内容を155分という尺の中で、それも一切の魅力を損なうことなく捌ききったものだ。

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