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大江英樹「おとなのマネー学・ライフ学」

その保険、本当に必要?やめれば余裕と貯蓄が増える?「保険=貯蓄」が資産を食い潰す

文=大江英樹/オフィス・リベルタス代表
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 たとえば、あなたが50代だとします。子供さんも独立し、夫婦二人だけの生活だとすれば、あなたに万が一のことがあった場合でも、保障額はそれほど多くは必要ないはずです。

 ところが、まだ子供さんが小さかった時の保障額と同じだけの保険に入り、保険金を払い続けているようなことはありませんか?

 また、仮に子供さんが小さい時でも、一家の大黒柱に何かあった時には公的年金で「遺族年金」が支払われます。条件によっても違いますが、子供さんがいる場合は月額10万円以上支払われることも珍しくありません。さらに会社員であればさまざまな弔慰金や会社からの補償が受け取れる場合もあります。そういうことも調べて考えた上で、残りの必要額を自分でまかなうためにはどれくらいの保障が必要かということを考えて、保険に入るべきです。

保険は“リスク”に対応するもので、「貯蓄」として利用してはいけない

 このように保険というものはあくまでもリスクをカバーするためのものですから、貯蓄性も併せ持った保険商品では多くの場合、補償の分だけコストが高くなり、定期預金などの他の貯蓄手段と比較して、必ずしも有利になるとは限りません。そればかりか、短期間に解約すると、元本を割り込むというケースがほとんどです。必要なケースに応じて人生のさまざまなリスクに対応するのが保険の役割であり、資産形成については別途、貯蓄や投資を考えるべきでしょう。

 これは保険に限らず金融商品全般にいえることですが、金融商品というのはできるだけシンプルなものを選ぶべきです。複雑になればなるほど、そこから必要な経費や手数料がわからないように抜かれるケースが多くなってくるからです。

 よく保険は「安心料」だといわれます。保険の営業担当者にいろいろと詳しい話を聞こうとすると、必ず「まあ、あまり細かいことを考えなくても、保険は安心料ですからね」と言われるケースがあります。

大江英樹/経済コラムニスト

大江英樹/経済コラムニスト

1952年、大阪府生まれ。野村證券で個人資産運用業務や企業年金制度のコンサルティングなどに従事した後、2012年にオフィス・リベルタス設立。日本証券アナリスト協会検定会員、行動経済学会会員。資産運用やライフプラニング、行動経済学に関する講演・研修・執筆活動を行っている。『定年楽園』(きんざい)『その損の9割は避けられる』(三笠書房)『投資賢者の心理学』(日本経済新聞出版社)など著書多数。
株式会社オフィス・リベルタス

Twitter:@officelibertas

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