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雨宮寛二「新・IT革命」

手に何も持たずに済む時代、現実味高まる

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 ウェアラブル端末といえば、スマートグラス(眼鏡型)やスマートウォッチ(腕時計型)が連想されるが、2015年に「Apple Watch」がリリースされ、グーグルがコンシューマ向けグーグルグラスの開発を断念したことから、最近ではスマートグラスがスマートウォッチにやや押される傾向にある。だが、今年1月13~15日に東京ビッグサイトで開催された「第2回ウェアラブルEXPO」では、多くのスマートグラスが出展され注目を集めた。


 エンタープライズ向けスマートグラスで注目すべきは、ブラザー工業が開発した「AiRScouter」である。これまで何度もアップグレードされてきたが、今回は片眼タイプで広い視野を確保し重量を145gに抑えるなどして、視野や重量面での改良がさらに進んだ。

『アップル、アマゾン、グーグルのイノベーション戦略』(雨宮寛二/エヌティティ出版)
 また、東芝が発表した「Wearvue TG-1」は光学シースルー型の端末で、ハンズフリー化を目指したスマートグラスとして開発され、工場や倉庫内での作業やインフラの保守管理を主な用途としている。従来型の端末と異なり、投映装置がレンズの前を覆い隠すことがなく、広い視野を確保しているのが特徴である。さらに、投映角度の調整が可能なPA機構(パーソナルアジャスター)も搭載し、顔形状や眼間距離において日本人成人の98%をカバーすることを可能とした。

 AiRScouterにしてもWearvueにしても、従来のエンタープライズ向けスマートグラスの弱点であった長時間装着すると負荷がかかるといった点を補い、その生命線である視野を広げる改良が進んだことは、顧客価値を大いに高めて普及を促すうえで極めて重要な意味を持つ。

 こうした開発が進む一方で、コンシューマ向けスマートグラスの普及促進を狙った仕組みづくりも着実に進められている。ソニーが14年に開発した「SmartEyeglass」がそれである。独自のホログラム導光板技術を用いて、視野に重ねてさまざまな情報を表示させるのが特徴である。

 同製品に搭載するアプリ開発者向けキットとして、今般「SmartEyeglass Developer Edition SED-E1」が発売された。スタジアムでのスポーツ観戦時にモニター上に成績などをリアルタイムに表示してくれたり、ナビゲーション情報などを視界上に表示してくれたりするなど、アプリ開発の用途は無限に広がる。

 こうした拡張現実(AR)により、リアルのさまざまな情報がより理解し認識しやすくなることは、必然的にスマートグラスに付加価値をもたらすことになる。利便性の高いアプリが多数開発されることで、ウェアラブル端末の便益がさらに向上することになれば、ハンズフリー時代の到来も夢ではないだろう。
(文=雨宮寛二/世界平和研究所主任研究員)