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「高野連が俺の人生のケツ拭いてくれるわけじゃない」高校3年生で感じた日本球界の閉鎖性

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アメリカやカナダの独立リーグで活動する現役野球選手である筆者が、同じような境遇にある“野球人”にその挑戦と真意を聞く短期集中連載、最終回の今回は、本稿で取り上げてきた田久保氏の原動力になっているものは何だったのか、そして30歳を超えた彼の選択に迫る。世界を野球で歩いてきた自分が、後進のためにできること・すべきこととは何なのか――?

<第1回目「閉鎖的な日本野球を刺激する、世界を【野球】で歩いた男の足跡」
<第2回目「チェコ初の日本人プレイヤー…“野球発展途上国”でつかんだ希望」

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田久保賢植氏の公式HP

 2015年、田久保はチェコのフロッシ・ブルノに戻る。今回は、選手兼任コーチとしてのオファーだった。さらに、オーストリアのナショナルチームのコーチも、継続して引き受けることになっていた。前年と違い采配を振るわない分、技術指導に割ける時間も多くなった。田久保の役割は年々厚みが増し、野球後進国の多いヨーロッパで、着実に、他の野球人とは違う道を歩んでいる。

 もちろん、指導方針について悩むことも多い。だが、その困難を避けるようなことは決してしない。指導者として、打撃のメカニクス、守備での動き、走塁への意識、選手個人の気持ちの強さを、つぶさに観察する。そしてさまざまな情報を交えて議論を深め、戦うメンバーを選ぶ。基準とする軸は、常に定まっている。指導法には、必ず批判と称賛が付き纏う。言葉や文化の違いも、そのハードルを高くしている。周囲にまどわされず、自らが信じた決断を遂行するべきだと、田久保は考えている。指導に限らず、これまで貫いてきたことでもある。だが、その考えに変化も生じていた。

「自分がこうだと思ったら、こうだと突き進んできたつもりだったけど、いつしか振り返ってみると、単純に真っ直ぐにぶつかろうとしなくなったかなと感じる。ぶつかっていくにはエネルギーがいるんだけど、ぶつかることから流していくようになったなと。大人になったという言葉を使っていいのかわからないけど、変化はしたように思う」(ブログより/原文ママ)

 若い時は、自分に正直だった。単純に正面からぶつかることで、状況を打破しようとしてきた。年齢を重ねるごとに、ただぶつかるだけでなく、相手の話にも真摯に耳を傾けるようになった。自分のことだけ考えていた20代前半。今は、多くのことに目を向け、より深く物事を考えるようにしている。次の世代のためにできること、世界から学んだことを、日本野球にどう還元していくかに、田久保の意識は移っている。

原動力は、高野連に怒られた記憶だった――


 現在、田久保は指導の傍ら、世界を目指す若い選手たちのサポートも行っている。かつて三好にしてもらったように、田久保もまたその経験を若い世代に還元させている。海外に行きたいという選手がいれば、相談に乗る。経済的な問題を抱えている選手がいれば、オリジナルTシャツの作成・販売を勧め、三好と共にサポートする。田久保自身の考え方も変わってきた。

「選手としてプレーするのは、『そろそろ若い奴がやったほうがいいんじゃないか』っていうのはあるよ。だから、俺はそろそろシフトチェンジしたい。後輩の選手たちが俺ぐらいのことをできて当たり前になってこないと、野球界が何も変わってないことになる。ただ、『俺がいたね』で終わっちゃうから。次の子たちが俺のポジションに入ってきてやるようにならないと。ナショナルチームのコーチやったり、オーストリアで監督やったり、采配だったりね。今だったらヨーロッパにも日本人が何人か行ったりしてるけど、自分がいつまでも同じ立ち位置でいてもしょうがない。違う立ち位置に変わらないと、俺が進んでることも示せないから」

 30歳を過ぎ、野球への向き合い方も以前と大きく変わった。選手として価値を示そうともがき続けた20代。今は、新たな価値の示し方を見出し始めている。

「俺がやれることは、けっこうやったんじゃないかなっていうのはあるよ。若い選手が海外行きたいって言う時も、プレーできる環境を用意してあげられるようにならないといけない。それが野球界の仕組みだったり、構造を変えることになるから。サポートの役割にならなきゃいけないよな、って。そのための知識とかアイディアを、野球で海外出て学んできて、自分の引き出しに入れている。それを形にしていくタイミングには来てると思う。そういうことが、自分の役割になってきてるって気がするけどね」

 現役を退けば、自然とある程度は野球から離れていくのが多くの野球経験者の道筋だ。しかし田久保は、次の世代のために道を切り開き、後進に可能性を託そうとしている。そこまで彼を動かすものとは、一体何なのだろうか?

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