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競馬に“琴奨菊”はいらない!? 天皇陛下に向かって最敬礼、日の丸を掲げて号泣する「筋金入りの親日家」M.デムーロ騎手

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 先日の初場所で三横綱をバッタバッタとなぎ倒し、14勝1敗でついに念願の初優勝を成し遂げた大関・琴奨菊。10年ぶりに日本生まれの力士が優勝したとあって、日本中が歓喜に包まれた。

 こんなことになるのも、相撲が日本の国技であるにもかかわらず横綱・白鵬を始めとした外国人力士ばかりが活躍していたからだろう。相撲人気低迷の理由の一つが見えたような、今年の初場所だった。皆、日本人の意地が見たかったのかもしれない。

 そして、今の角界と同じように、競馬界も外国人ばかりが大活躍している。昨年の年度代表馬モーリスの主戦はイギリス人のR.ムーア騎手だし、主要なレースの大半は外国人に勝たれてしまっているような状況だ。

 しかし、白鵬が少し変化の相撲を取っただけで大ブーイングするなど“アンチ外国人”のファンが多い一方、競馬で“アンチ外国人”のファンはあまり見かけない。それどころか、日本人より人気のある外国人騎手も珍しくはないほどだ。

 競馬にはギャンブルという側面がある。だからこそ結果を残せる者が、他のスポーツに比べて優遇されやすい。つまり結果さえ残せれば、それが外国人だろうと日本人だろうと基本的には大きな違いはないのかもしれない。

 ただ、それ以上に日本で騎乗しに来る外国人は軒並み「親日家」が多い。中でも昨年から正規のJRA騎手として通年で騎乗しているC.ルメール騎手とM.デムーロ騎手は、これまでも毎年のように日本を訪れていた“筋金入りの親日家”である。

 特にデムーロ騎手は「身も心も完全に日本人」といって良いほどの心酔ぶり。日本語での会話は当たり前、今では競馬新聞すら熟読できるレベルに達している。

 それどころか2011年の東日本大震災直後に行われたドバイワールドカップを日本馬のヴィクトワールピサで勝った際は、「アイ・ラブ・ジャパン!!」と日の丸を掲げて号泣。もはや日本人より日本人らしいイタリア人といえるだろう。

 また2012年に秋の天皇賞を制した際のことだ。レース後に下馬するとヘルメットを脱ぎ、右膝を着いて左手を胸に当てたまま、観戦されていた貴賓室の天皇・皇后両陛下に向かって最敬礼。まるで日本という国に心からの忠誠を誓う騎士のような姿に、観客からは大歓声が上がった。

 さらには両陛下が手を振ってお応えになられたのだから、デムーロ騎手は名実ともに日本人として認められたとも解釈できる。

 同時に、デムーロ騎手が多くの競馬ファンや関係者に愛されている理由は、彼が陽気で明るい生粋のイタリアンだからだ。

 2003年の皐月賞を勝った際は感激のあまり、当時G1連敗記録を更新中で2着に惜敗した田中勝春騎手の頭を何度もポンポン叩いて、関係者を凍りつかせたのは競馬ファンの間では有名な話だ。

 さらには2007年、重賞勝ちを確信したゴール手前のこと。嬉しさのあまり、馬上で両手を左右に広げる“飛行機ポーズ”を決め、JRAから5万円の罰金処分を受けている。それにもかかわらず、今度はドイツで同じパフォーマンスを敢行し騎乗停止処分に……。

 しかし、これで懲りないのがデムーロ騎手だ。

 2014年、今度はG1の舞台で“飛行機ポーズ”を決めたまま1着ゴールイン。競馬ファンからは「出た!」「また翼を広げたぞ!」「さすがデムーロ」「今度からデムーロ買うわ」など大絶賛だったが、今度は罰金10万円と厳重注意を受けた。

 極めつきは、やはり昨年の朝日杯FSだろう。このレースを勝てば前人未踏のG1完全制覇が懸かった武豊騎手騎乗の1番人気エアスピネルを、ゴール手前で豪快に差し切って大記録を阻止。

 武豊騎手も後のトークショーで「空気の読めないイタリア人のせいで……」とチクリ。ただ、こんな冗談を気楽に言えるのも相手がデムーロ騎手だからだ。

 今や家族とともに京都に移り住み、日本の文化と競馬を心から堪能しているデムーロ騎手。ここまで日本に惚れ込んでいる外国人だからこそ、何をしても笑い話になり、活躍すればするほど日本のファンがついてくるのかもしれない。