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山田修「間違いだらけのビジネス戦略」

ヤマダ電機、「なりふり構わぬ」戦略転換…脱・総合家電店への本気、池袋の新店舗で

文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント

 さらに2月5日には、「YAMADA IKEBUKURO アウトレット・リユース&TAX FREE館」をオープンした。この店舗はもちろん家電やPC関連も扱っているが、総合家電店としてのイメージを一新する複合業態店舗となっている。

 目新しい点を挙げれば、まず1階には日本最大のコスメ・美容の総合サイト「@cosme」とのコラボによる「@cosme×YAMADA Beauty station」が配置された。既存店で好評のパウダールームやフィッティングルーム、無料ネイルお手入れコーナーも併設されている。2階は訪日外国人向けのフロアだが、家電だけでなくギフト、雑貨、医薬品まで展開している。もちろんフロア案内は、日本語、英語、中国語、韓国語の4カ国語でなされている。

 他のフロアでも時計や調理器具など、従来のヤマダの店舗からは「一歩外れた」高額商品を扱っている。7階はGUNDAM専用フロアとなっていて、ニッチなマニア・マーケットを狙っている。

 こうした店舗づくりの狙いは、高額品の販売、そして大きな利益の確保であることは明らかだ。「なりふり構わず」ということだが、もちろん悪いことではない。むしろ大胆なマーチャンダイジング・シフトとその挑戦意欲を評価したい。

リユースに本腰

 YAMADA IKEBUKUROで私が特に注目しているのが、店名にタックス・フリーと並んで「アウトレット・リユース」が前面に出されていることだ。地下1階には高級ブランド品の買い取り・販売の「ブランドオフ」が出店した。また、3フロアを使って、魅力的な価格の「アウトレットコーナー」とヤマダ電機グループの自社工場で洗浄から点検までを行った「リユースコーナー」を導入した。この結果、同店では新品の家電と中古品の家電(携帯電話やPC関連の中古品もある)の両方が手に入ることになる。

 中古品のほうが価格が低いので、高額な新品の販売を阻害すると危惧されそうだが、その心配は少ない。リユース品の荒利は一般的に高率となるからだ。たとえば、専業で最大手のハードオフコーポレーションの15年3月期の対売り上げ経常利益率は、10.5%にも上っている。

 ヤマダは中期経営計画で20年3月期に1014億円の営業利益を目指すとしたが(16年3月期予想は607億円)、それを実現する大きな可能性の部分としてリユースビジネスがあると私は見ている。

 また、その戦略的な重要性をヤマダも認識しているようで、中古家電の再販店舗を今後2年程度で現在の15店から3倍の50店規模に増やす意向だと報じられている。

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

経営コンサルタント、MBA経営代表取締役。20年以上にわたり外資4社及び日系2社で社長を歴任。業態・規模にかかわらず、不調業績をすべて回復させ「企業再生経営者」と評される。実践的な経営戦略の立案指導が専門。「戦略カードとシナリオ・ライティング」で各自が戦略を創る「経営者ブートキャンプ第12期」が10月より開講。1949年生まれ。学習院大学修士。米国サンダーバードMBA、元同校准教授・日本同窓会長。法政大学博士課程(経営学)。国際経営戦略研究学会員。著書に 『本当に使える戦略の立て方 5つのステップ』、『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』(共にぱる出版)、『あなたの会社は部長がつぶす!』(フォレスト出版)、『MBA社長の実践 社会人勉強心得帖』(プレジデント社)、『MBA社長の「ロジカル・マネジメント」-私の方法』(講談社)ほか多数。
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