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雨宮寛二「新・IT革命」

アップル、ついに首位陥落…「革新性」消失、株価下落止まらず

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アップルのロゴ
 世界の時価総額トップの座が、米アルファベット(旧グーグル)へと移った――。


 グーグルを中核事業とする持ち株会社アルファベットの株価が、2月1日の時間外取引で上昇し、時価総額が米アップルを上回った。このこと自体に驚きはなく、むしろもっと早く移行していても不思議ではないというのが実感である。

 世界における革新的企業ランキングでは、ここ数年アップルがトップの座に君臨し、グーグルやアマゾンが後塵を拝するという構図が見られた。すべての市場調査が実態を反映するとは限らない。なぜなら、もはや既存製品の改良や改善に経営資源をシフトしたアップルには、創造的破壊を繰り返す革新性が残されていないからだ。

『アップル、アマゾン、グーグルのイノベーション戦略』(雨宮寛二/エヌティティ出版)
 アップルとアルファベットを革新性の面から比較すると、アップルがiPodやiPhone、iPadといった非連続的なイノベーションを起こしてきたのに対して、アルファベットが起こしたそれは広告連動型検索エンジンのみである。その他の製品やサービスはといえば、アンドロイドやGメール、クロームなど既存の製品やサービスに改良や改善を施すといった連続性を追求する技術の進歩にほかならない。

 アルファベットの言葉を借りて言うならば、アップルが大きなムーンショット(壮大な課題・挑戦)の実現を連発してきたのに対して、アルファベットは小さなムーンショットの実現を積み重ねることで、その存在感を示してきた。

小さなムーンショットの積み重ね


 一方で、アップルが3つの大きなイノベーションを世に出して以降、新たなイノベーションが出せていないのも事実である。アップルは、2011年8月に米エクソンモービルから時価総額トップの座を奪取して以来、概ね首位の座を維持してきた。だが、その期間はわずか4年5カ月と短い。大きなムーンショットの実現は社会や経済、さらには企業間の競争に大きなインパクトを残すが、継続性という点では明らかに弱い。

 今回アルファベットが時価総額で主役に移行したのは、好決算により株価が28%上昇した同社に対し、アップルがiPhoneの販売減速で25%株価を下げたという一時的な要因によるところが大きい。

 だが、小さなムーンショットの積み重ねは、着実にアルファベットを高みに押し上げた。このままアルファベットが小さなムーンショットの実現を連発し続けることができれば、時価総額トップの座は揺るぎないものとなろう。