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小黒一正教授の「半歩先を読む経済教室」

日銀のマイナス金利、早晩行き詰まるリスクも…日銀への信頼が揺らいだ時に起こる事態

文=小黒一正/法政大学経済学部教授

 図表1の「現状維持ケース」では、現在から20年まで、日銀当座預金の「加重平均金利」はプラスで、日銀に預金する民間金融機関から日銀への「資金移転額」は毎四半期0.03兆円にすぎないが、第2ケースの図表2では18年Q3(7月―9月)以降に「加重平均金利」はマイナスに陥り、日銀への「資金移転額」は19年頃に毎四半期0.3兆円を突破する。14年度の全国銀行(都市銀行・地方銀行・信託銀行)の当期純利益は年間で約3兆円であり、0.3兆円はその1割にも及ぶ。

 つまり、もし日銀に対する市場参加者の信頼が揺らぎ始めれば、日銀による国債の買いオペレーションは札割れを起こし、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」は早晩行き詰まるリスクを抱えている。
(文=小黒一正/法政大学経済学部教授)

小黒一正/法政大学教授

小黒一正/法政大学教授

法政大学経済学部教授。1974年生まれ。


京都大学理学部卒業、一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。


1997年 大蔵省(現財務省)入省後、大臣官房文書課法令審査官補、関税局監視課総括補佐、財務省財務総合政策研究所主任研究官、一橋大学経済研究所准教授などを経て、2015年4月から現職。財務省財務総合政策研究所上席客員研究員、経済産業研究所コンサルティングフェロー。会計検査院特別調査職。日本財政学会理事、鹿島平和研究所理事、新時代戦略研究所理事、キャノングローバル戦略研究所主任研究員。専門は公共経済学。


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Twitter:@DeficitGamble

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