一日の走行距離は、運転時間×平均時速で求められる。東京都内で1時間30分使うとすると、平均時速を20~25キロメートルとすれば、走行距離は30~37.5キロメートルである。郊外で平均時速が30キロメートルに上がれば、45キロメートルである。
一方、ドイツのアウトバーン(高速道路)を使うと平均時速はおそらく80キロメートル以上となるが、下道もあるので平均して時速60キロメートルとし、一日1時間走ると走行距離は60キロメートルとなる。走行距離は、私たちの生活の仕方(ライフ・スタイル)と交通の混雑度で決まると考えてよいのではないだろうか。
EV、PHEVを支える充電インフラ
米カリフォルニア州のZEV(排ガスがゼロの車両)規制では、電池のみで走るEVのほかにPHEVもZEVとして認められているが、搭載した電池のみで走れる距離を50キロメートル以上としている。これは、同州における自家用乗用車の平均的な使われ方を元にした規制である。一日の平均的な走行距離を50キロメートル以下として、その範囲内で走行し、自宅に戻ったら充電して翌日に備えるというわけだ。
もちろん、200ボルトの電源があれば、家でなくともPHEVは充電できる。それが職場にあれば通勤距離が50キロメートルであってもゼロエミッションで通勤可能になる。
たとえば三菱自動車は、EVやPHEVで通勤する従業員や来客のために工場や社員寮などに合計1200基の普通充電器を設置している。PHEVの使い方を工夫すれば、ゼロエミッション通勤が可能になる。
普通充電器の電源は200ボルト、15アンペアである。一方、車載の充電器の出力は3キロワットと釣りあっている。これであれば、たとえば三菱自動車のi-MiEVは電気がゼロの状態から5時間でほぼ満充電できる。アウトランダーPHEVでは4時間である。いずれも電気が空の状態からの充電はあり得ないから、実際にはもっと短い時間で満充電になるだろう。
エンジン車でも、気温が非常に低い地域などでは充電スタンドが必要である。エンジン車は極低温になると、潤滑油(オイル)が硬くなる。そうなると始動用のモーター(セルモーター)が回らなくなって、エンジンがかからない。そこで街中での駐車時には、設置してある充電スタンドのコンセントを車体につないで、電気ヒーターでオイルを温めておく。このような習慣があるので、こうした地域ではEVやPHEVの街中での充電にあまり違和感はないという。