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小林敬幸「ビジネスのホント」

日本企業がダメになった本質的原因…生き残りの必須条件はリーン、デザイン、オープン

文=小林敬幸/『ビジネスの先が読めない時代に 自分の頭で判断する技術』著者
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日本企業がダメになった本質的原因…生き残りの必須条件はリーン、デザイン、オープンの画像1「Thinkstock」より

 最近、企業内イベントとしての新規事業開発プロジェクトや、ソフトウェア開発プロジェクトに関するイベントであるハッカソンなどでは、「リーン」「デザイン思考」「オープン」という3つの言葉がよく出てくる。今回は、この新規事業開発の最新トレンドをまとめてみたい。 

 これらの手法は、生まれては消えるはやり言葉のひとつのようだが、実はこれまで長年企業の現場で金科玉条のように語られてきたカイゼン、ポジショニング、コアコンピタンス、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)、フラットなどと、根本的に対立する発想を含んでいる。これら従来の発想が、現代のビジネス環境に対応しきれていないという苦悩が背景にある。

 従って、たとえその言葉が廃れたとしても、背景にある時代の変化と、それに適応できない従来手法への問題提起は、重要な意味を持ち続けるだろう。ここでは、この3つの手法の本質的意義も探っていく。

リーン

日本企業がダメになった本質的原因…生き残りの必須条件はリーン、デザイン、オープンの画像2『ビジネスの先が読めない時代に 自分の頭で判断する技術』(小林敬幸/KADOKAWA/角川書店

 リーン・スタートアップ戦略というのは、新しい事業や施策を小さく、早く、たくさん始め、事業を進めながら仮説を検証し、必要に応じて最初の計画を柔軟に変更しながら進めるものだ。現代では何がヒットするかわからないから、たくさん、小さく産んでみる。産んで始めてから好評な商品やサービス手法を拡充し、致命的な問題を回避して解決していく。どちらに向かって走るかも、走りながら考える。とにかくやってみようという考え方だ。

 これは、次のような従来の商品開発と対照的だ。目標となる商品を数年後に上市するために、発売日から逆算して緻密な計画をたてる。製造プロセスを磨きあげ、高品質の商品を大量に生産できる体制を整え、広告宣伝費もかけてからいざ勝負と販売する。現在では、この方法の有効性が薄れている。

 もちろんリーンに対する批判もある。やってみないとわからないというのはもっともだけれども、いささか無責任な行き当たりばったり戦略ではないか。そして、ビジネスが小さくまとまってしまい、最終的に何を目指すのかという「ミッション」や「ビジョン」があいまいになる、と批判する人もいる。

 また、リーンは、多産多死戦略でもあるので、多くの案件や試みに少しずつ投資する投資家や大企業の経営陣の戦略としてはいいかもしれない。しかし、現場の感覚でいうと、結局はその多くの事業や仕事のひとつに全精力をかけてかかわる起業家や担当社員に、不十分な準備で起業をあおり、施策の成功を迫るのはひどいともいえる。たとえ失敗しても、かかわった人が大きなダメージを受けないようにしないと、この戦略は持続可能ではない。

小林敬幸/『ふしぎな総合商社』著者

小林敬幸/『ふしぎな総合商社』著者

1962年生まれ。1986年東京大学法学部卒業後、2016年までの30年間、三井物産株式会社に勤務。「お台場の観覧車」、ライフネット生命保険の起業、リクルート社との資本業務提携などを担当。著書に『ビジネスをつくる仕事』(講談社現代新書)、『自分の頭で判断する技術』(角川書店)など。現在、日系大手メーカーに勤務しIoT領域における新規事業を担当。

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