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勤務終了直後に「あと12時間働け」…警備業界、過労死続出の心身破壊される過酷な労働実態

構成=西山大樹/清談社
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警備員の仕事は一歩間違えば大事故にもつながりかねないため、そういった点の精神的疲労も大きいかもしれませんね。ほかに考えられる理由はなんでしょうか。

橋本 やはり待遇面での問題が大きいと思います。前述のように警備員は「1勤務いくら」「昇給や賞与はなし」という報酬形態が多い。そして、スキルや経験に関係なく、同じ現場では基本的に報酬は同じです。そのため、超過勤務やダブルワークもかなり多い。そうでなければ、生活できないからです。

 そして、いくらがんばっても生活が楽にならないことから、警備員の仕事に見切りをつけてしまうケースも大変多く見受けられます。「警備員の仕事は嫌いではない。でも、これでは食っていけない」という声を、何度も聞いたことがあります。

 中には、短時間で終わる現場を掛け持ちして、上手に稼いでいる警備員も多くいます。例えば、午前中や正午頃までで終わるような現場に勤務し、夕方から夜半までの現場で夜勤をする。こういう組み合わせなら、ある程度は体を休められるし、無理のない範囲で続けることもできます。報酬もそれなりの金額を稼ぐことができます。

 しかし、そんな都合のいい現場が常にあるとは限りません。確かに、工事現場では予定より短い時間で工事が終了することは珍しくありません。9時間拘束のはずが5時間くらいで作業が終わってしまい、「警備員さん、お疲れ。帰っていいよ」と現場監督から指示されることも多いです。中には、2時間くらいで終わってしまうケースも珍しくない。早く終わっても、ちゃんと1勤務分の報酬は満額もらえるので、ある意味「お得感」はあります。

 しかし、だからといって、都合よくその日に別の仕事がもらえるわけではないのです。移動時間も必要ですから。たまたま、終わった現場の近くに新しい現場でもあれば別ですが、そう簡単にはいきません。

–警備業界は高齢者などの「雇用のセーフティーネット」として機能している面もある一方、生活困窮者を使い捨てにするような状況に陥りがちではないかと考えられます。警備会社は、それについて改善しようとはしていないのでしょうか。

橋本 警備員だけでなく、社内勤務の従業員も実は大変なのです。当直勤務はありますし、急に人員が必要な場合は、社内の人間が現場に出向いて欠員を補てんします。不慣れな警備員も多いので、クライアントからのクレームも多い。社内勤務の正社員も、決して定着率はよくないのが実情です。

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