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雨宮寛二「新・IT革命」

iPhoneが売れない…アップル、毎年既存商品の新モデル投入のみで食いつなぐ企業に

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アップルのロゴ
 1月末に米アップルの2016年第1四半期決算(10~12月)が発表された。決算発表会では、ティム・クックCEO(最高経営責任者)が、史上最高の利益を上げたと前置きしたうえで、それができたのは「最高に革新的な製品群のおかげであり、iPhoneとアップルウォッチ、アップルTVの売り上げが過去最高を記録したおかげだ」と述べている。

 クックCEOが述べるように、アップルの主力商品が売り上げ記録の更新を続けているのは確かである。しかし、「革新的な製品群」であるかと問われれば、そこには大きなイノベーションの罠が存在し、アップルの経営を蝕んでいるとしか答えようがない。

『アップル、アマゾン、グーグルのイノベーション戦略』(雨宮寛二/エヌティティ出版)
 現在のアップルは、iPhoneをはじめとして、iPadやiPodといった主力製品に支えられている。これらの製品はいずれも「画期的な革新」、つまりイノベーションとして世に送り出されたわけであるが、2010年以降アップルは自らの事業活動をシフトし、これら3つの製品やMacを改良・改善することに注力してきた。

 なぜかといえば、アップルは主力商品を毎年アップグレードするだけで「食べていける」からである。これは優良なる大企業であれば、必ず陥るイノベーションの罠である。アップルはもはや大きくなりすぎた。今や2,000億ドル近くの売上高を計上し、内部留保はすでに2,000億ドルにも達する。

 アップルに限らず、いかなる優良企業もこうしたイノベーションの罠に陥る。既存製品の改良や改善という連続的な事業活動に邁進すれば、非連続性の特徴を有するイノベーションはもはや起こせなくなるのは必然であろう。

 アップル快進撃の立役者だったiPhoneは、もはや製品として成熟期に近づいている。今期の決算では、iPhoneの販売台数は7,477万台で前年同期に比べ0.4%増にとどまった。アップルのスマートフォン(スマホ)販売が踊り場にさしかかっているのは明らかである。

増収増益の終わり


 こうしたiPhone成長の減速とともに、これまでのような増収増益の連続は、来期にも終わりを迎える可能性が高い。アップル自身も、16年の売上高が前年同期を下回る可能性を明言している。これが現実のものとなれば、03年以来のこととなり、アップルはiTunesミュージックストアでiPodをイノベーションに導いた年に逆戻りすることになる。奇しくもアップルの快進撃が始まったスタートポイントにである。