ビジネスジャーナル > 企業ニュース > 百円ローソン、大苦戦で店舗激減  > 2ページ目
NEW
大崎孝徳「なにが正しいのやら?」

百円ローソン、大苦戦で店舗激減…百円商品は全体の6割、スーパーより割高、通路狭く窮屈

文=大崎孝徳/名城大学経営学部教授

(2)品揃え

 次に、品揃えに注目していきます。

 学生の調査によると、ローソンストア100の商品点数はほかのコンビニの概ね1.5~2倍程度と圧倒的多数になっています。単純に考えると、商品数が多いことは良いように思えますが、店の規模自体はほかのコンビニと大差ないため、結果としてローソンストア100は通路の狭い店舗が多い印象を受けます。とはいえ、商品点数を減らせば店の魅力を減らすことにつながりかねず、難しい問題と言えます。

  この商品数の相違は取扱商品の幅の広さも影響しているかもしれませんが、例えばパンだけを比較してもほかのコンビニの2倍程度の商品数となっており、こうした同一の商品群の品揃えに関しては削減の余地がありそうです。商品数が多すぎると消費者が混乱するため、購入率が下がるという研究もあり、低価格に加え買い物のしやすさもほかのコンビニとの競争において重要なポイントになるはずです。

 ちなみに学生の調査では、ローソンストア100の顧客の滞在時間はほかのコンビニより長いものの、購入商品点数はあまり変わらず、結果として単価が安い分、購入合計金額が小さくなっていると考えられます(サンプル数は各50人程度ですので、参考程度に考えてください)。

(3)利便性

 消費者のコンビニへのニーズは、当然のことながら、まずは買い物でしょう。しかし、それ以外にもATM(現金自動預け払い機)、カウンターコーヒー(入れたてコーヒー)や公共料金の支払い、トイレ、コピーといったサービスへのニーズもかなり高いようです。これらは通常のコンビニでは当然のように備わっているサービスですが、ローソンストア100では提供されていないケースが多いようです。もちろん、低価格や豊富な品揃えを強く志向したことによるトレードオフの結果でしょうが、消費者はそう簡単には許してくれないため、ローソンストア100は現在、苦境に立たされているのかもしれません。

ローソンストア100はどうするべきか

「二兎を追う者は一兎をも得ず」とは昔からよく言われることですが、ローソンストア100の場合、「コンビニの利便性」「100円ショップの均一価格」「スーパーの幅広い品揃え」という“三兎”を追うわけですから、いろいろな問題が生じることは当然の結果ともいえます。しかしながら、絶対的王者のセブン-イレブンに対抗するためには、安易に妥協するのではなく、こうした高い目標に向けて、トライ&エラーを繰り返しながら、うまくやりぬく術を修得する必要があるように思われます。
(文=大崎孝徳/名城大学経営学部教授)

大﨑孝徳/香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授

大﨑孝徳/香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授

香川大学大学院地域マネジメント研究科(ビジネススクール)教授。1968年、大阪市生まれ。民間企業等勤務後、長崎総合科学大学・助教授、名城大学・教授、神奈川大学・教授、ワシントン大学・客員研究員、デラサール大学・特任教授などを経て現職。九州大学大学院経済学府博士後期課程修了、博士(経済学)。著書に、『プレミアムの法則』『「高く売る」戦略』(以上、同文舘出版)、『ITマーケティング戦略』『日本の携帯電話端末と国際市場』(以上、創成社)、『「高く売る」ためのマーケティングの教科書』『すごい差別化戦略』(以上、日本実業出版社)などがある。

百円ローソン、大苦戦で店舗激減…百円商品は全体の6割、スーパーより割高、通路狭く窮屈のページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!