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白井美由里「消費者行動のインサイト」

スーパー、なぜ「~しただけ」でトイレットペーパー販売数が1.5倍に?驚きの消費者行動が判明

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「Thinkstock」より
 消費者の「感性」を具体的なかたちで製品デザインに盛り込み、消費者のフィーリングやイメージに適合した製品を創造する開発技術のことを「感性工学」といいます【註1】。感性には、外界の刺激の受容から生じる感覚、その感覚の解釈(知覚)、およびその解釈から生じる感情が含まれます。日本生まれのこの考え方は、海外でも「Kansei engineering」として知られています。


 革新的な技術が生まれにくくなっている現在では、感性工学に基づいた製品開発が注目されています。これまでにも、マツダの「ロードスター」、ブリヂストンのゴルフクラブ「TOURSTAGE V-iQ」シリーズ、パナソニックのLEDシーリングライト「EVERLEDS」シリーズ、TOTOの「エアインシャワー」など、感性工学を取り入れた商品が数多く発売されています。

 マーケティングでも消費者の感性への関心は高まっており、感性に働きかけ、商品との心理的な結びつきを創造しようとする活動を「感覚マーケティング(sensory marketing)」と呼び、従来のマーケティングと区別しています。

 消費者行動研究では、以前より刺激や感覚と消費者反応との関係を研究していますが、その多くは視覚、聴覚、味覚、および嗅覚を対象としたものでした【註2】。しかし、2000年頃から触覚に関心が向けられるようになり、特に「買い物客による商品への接触」をテーマとした研究が増えています。そこで、今回は接触が消費者行動に与える影響についてみていきたいと思います。

接触が重要となる商品とは


 心理学における人間の感覚の研究において、モノの性質には、大きさや形が主要な属性となる「形状的性質」とテクスチャ、粗さ、硬さ、重さ、温度などが主要な属性となる「材質的性質」の2タイプがあり、形状的性質を持つ商品では視覚が、材質的性質をもつ商品では触覚が、人間の知覚において重要な役割を果たすことがクラツキーらによって明らかにされています【註3】。

 その結果を踏まえ、マクキャベとノウリスは実験を行い、快適な材質的性質をもつ商品(バスタオルとカーペット)では、商品情報を写真や文章で提示するよりも商品に直接触らせたほうが、購入者は多くなることを確認しています。形状的性質をもつ商品(ビデオテープと写真フィルム)では、このような違いは見られませんでした【註4】。