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雨宮寛二「新・IT革命」

アマゾン、初の売上減の衝撃…海外で同時的に成長鈍化、北米でプライム会員急増のワケ

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サイト「アマゾン」より
 1月末に米アマゾンの2015年第4四半期決算が発表された。4億8,200万ドルの純利益はともかく、売上高は前年同期比22%増の357億ドルと好調であったが、いずれもアナリスト予想の平均を下回る結果となったことから、業績が低調であったとの批判を浴びている。


 だが、同期の売上高の好調さは、15年通期の売上高を1,070億ドルという高みに押し上げた。14年通期の売上高890億ドルとの比較では、20%以上売り上げを伸ばしたことになる。

『アップル、アマゾン、グーグルのイノベーション戦略』(雨宮寛二/エヌティティ出版)
 その牽引役となっているのは依然として北米市場(米国とカナダ)で、637億ドルを売り上げた。対前年比25.3%増は、直近3年間の伸び率では最も高い数値で、15年度がいかに好調であったかを物語っている。

 一方で売上全体の4割強を占める海外市場はというと、成長が大きく鈍化している。海外市場のなかでもドイツ、英国、日本はいわゆるドル箱市場で、この3カ国の売上高の合計が海外市場全体の約7割を占めるが、いずれも伸び率は低調であった。

 特にドイツは、対前年伸び率が-0.8%となり、市場参入後初めてのマイナス成長となった。英国や日本も、対前年伸び率がそれぞれ8.3%、4.4%で鈍化傾向にある。従来海外市場が2ケタ成長を遂げ北米市場を凌駕する勢いで成長してきたことを考えれば、その成長に陰りが見えてきたといわざるを得ない。

 このように海外市場の成長が鈍化し、逆に北米市場が息を吹き返し好調なのは一体なぜであろうか。それは、アマゾンが北米市場を中心にプライム会員の獲得に注力するリテンション(既存顧客維持)戦略を採り始めたからである。

 アマゾンにおける1年間の買い物金額の平均は、プライム会員1人当たり1,100ドルで、非会員の平均金額である600ドルを大きく上回っている。しかも全顧客に占めるプライム会員比率は47%である。

 米国ではすでに多くの消費者がアマゾンの顧客となっていることから、売り上げが頭打ちとなり、新規顧客の獲得が難しい状況にある。そのため、こうした消費金額の高いプライム会員を増やすことを目標に、リテンションを強化する戦略を打ち出すに至った。