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新見正則「医療の極論、常識、非常識」

トイレ直前でお漏らし、昼も夜中も何度も排尿…深刻な「尿問題」はこう対処せよ!

文=新見正則/医学博士、医師
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トイレ直前でお漏らし、昼も夜中も何度も排尿…深刻な「尿問題」はこう対処せよ!の画像1「Thinkstock」より

 今日は、1日に飲む水分量に関してです。“非常識君”はどこかのメディアで見たようで、「健康のためにはたくさんの水分を取ったほうがいいそうなので、1日何リットルもの水分を取ることにした」と主張しています。また、“極論君”は「水分を取ると夜トイレに行く回数が増える。夜中に何度も起きると寿命が短くなるそうで、できる限り水分を取らない生活を試みる」と言っています。“常識君”はいつものように、「適当に水分は取ればいい」といった論調です。

 まず、腎臓や心臓の機能がしっかりと働いていれば、取り過ぎた水は尿や汗、息(湿気)として体外に排出されます。犬は基本的に汗をかかないので、ハーハーしながら呼気の中の湿気として水分を出しています。犬の排尿回数は本当に少ないですね。1日1~2回のこともあります。

 人間は汗や息でも水分を排出していますが、基本は尿として外に出します。1日8回ぐらいが平均だそうですが、たくさん水を飲む方は排尿回数が多くなりますし、逆に水分摂取量が少ないとわずかな排尿回数でも暮らしていけます。

 歳を取ると膀胱が貯蔵できる尿の量が減るので、排尿回数が増えることが多いのです。男性では前立腺肥大があると膀胱の活動性が増したり、また尿の出が悪くなるので膀胱内の残尿が増えるために、トイレでの排尿量は少ないが頻回にトイレに行く必要に迫られるという結果になります。また。前立腺肥大症がない男性や前立腺がない女性でも、膀胱の活動が過敏になる過活動性膀胱という状態では、排尿回数が増えます。

 過活動性膀胱で困るのは、トイレが我慢できなくなることで、トイレの手前まではなんとか排尿を我慢できたとしても、トイレを見た途端に尿意が高揚し排尿の用意をする前に漏らしてしまうということもしばしば起きます。こうした状態で困っている方は、ぜひ泌尿器科に相談して適切な薬剤を内服しましょう。最近の薬剤は結構効きますよ。

取り過ぎも控えすぎも体に害

 尿の回数が増えるからと水分量を制限することは、実は誰もが時と場合に応じて行っていることです。それがあまりにも過剰になると精神的にも疲れてきます。また、夜中の排尿も50歳を過ぎれば1回はトイレに起きることは、ある意味当たり前と受け止めたほうが健康的です。寝る前に水分を取れば、夜中に2回トイレにいっても特段問題はありません。夜中に3回以上排尿で起きるようになると、その後の睡眠が障害されて寝不足になりがちです。まず、早めの夕食を取って、その後は水分摂取を我慢するのもひとつの選択肢として間違ってはいません。

新見正則/医学博士・医師

新見正則/医学博士・医師

1959年生まれ
1985年 慶應義塾大学医学部卒業
1985年~ 慶應義塾大学医学部外科
1993~1998年 英国オックスフォード大学医学部博士課程
1998年~ 帝京大学医学部外科に勤務

 幅広い知識を持つ臨床医で、移植免疫学のサイエンティスト、そしてセカンドオピニオンのパイオニアで、モダン・カンポウやメディカルヨガの啓蒙者、趣味はトライアスロン。著書多数。なお、診察希望者は帝京大学医学部付属病院または公益財団法人愛世会愛誠病院で受診してください。大学病院は紹介状が必要です。

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