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石堂徹生「危ない食品の時代、何を食べればよいのか」

食業界の底知れぬ闇…ココイチ廃カツ横流し、「大山どり」偽装地鶏が10年も流通

文=石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

「やったらあかん」という認識を持ちながら、「人気の高いもも肉の欠品を防ぐ」ために、社長の指示に従って社員が本社兼加工場で、鹿児島県産や宮崎県産などのもも肉を、「大山都どり」と表示されたポリ袋に詰め替えて出荷していた。

 同社は01年に設立されたが、偽装に手を染めたのは06年頃からで、ミートホープ事件発覚後も素知らぬ振りをしながら、延々10年間も続けてきた。 社長は謝罪した上で、近く経営陣が辞任するとともに、会社を廃業にするとしたという。

 ただし、経営陣にとっては、それで一件落着とはなりそうにない。大山どりは株式会社大山どり(鳥取県米子市)の登録商標【編注7】だ。大山どりは、鶏肉生産のために飼育される実用鶏(コマーシャル鶏)の親世代に当たる種鶏の育成から自社で行い、専用飼料を与えて、ジューシーで旨みのある鶏を育てているという。

 同社は今回の偽装発覚当日、同社のHPに「この件に関しまして、当社及び当社製品『大山どり』とは一切関係がございませんので、誤解無きようお願い致します」とのお知らせを掲載した。
 
 また、県産品のPRに懸命な鳥取県も2月23日、「産地偽装事件に係る本県の対応状況等について」【編注8】を発表した。そこには、「京都府における鶏肉の産地偽装では当県の『大山ブランド』が利用され、県としても看過できない重大な事件であるため、消費者庁、農林水産省及び京都府に対し、厳格な法的措置を講ずるよう要請を行った」とある。

 さらに、新聞報道【編注9】によれば、平井伸治・鳥取県知事は産地偽装事件に対し、「産地に対する侮辱で決して許せない。徹底的に糾弾し、大山ブランドを守らなければならない」と話したという。県の緊急対策会議では、県内業者が訴訟を起こす際には支援することなどを確認したそうだ。

 つまり、都ジャパンの経営陣は、たとえ会社が廃業になっても、不正競争防止法などの罰則だけでなく、大山どりからの訴訟や、賠償金の請求などで責任を追及される可能性もある。

 ミートホープ事件と今回の廃棄カツ横流し事件、そして大山都どり事件の3つは、いわばメビウスの輪のように捻じれながら、一本化してつながっているのではないか。つまり、生産から流通・消費までの“食の動脈”と、食資源がゴミと化した産業廃棄物を処理する“食の静脈”が“浄化装置”なしで還流し合っているようにみえる。

石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

1945年、宮城県生まれ。東北大学農学部卒。養鶏業界紙記者、市場調査会社などを経て、フリーに。現在、農業・食品ジャーナリスト

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