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新見正則「医療の極論、常識、非常識」

車暴走による「運悪い」歩行者の死亡事故多発!赤信号を渡るほうが安全?予防は不可

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「Thinkstock」より
 今回は、突然死の話です。2月、男性が運転中に大動脈解離を起こし心臓の入れ物(心嚢内)が破裂し、自身も死亡、そして車が意に反して走行し通行人1人が死亡、1人が意識不明の重体となった事件が起きました。


“極論君”は「運転免許の更新に、パイロットと同じようなしっかりした医学的身体検査所見を加えるべき」という主張です。“非常識君”は「突然何が起こるかわらないので、不注意のままで青信号を渡るより、むしろ注意して赤信号を渡ったほうが安全だ」という変わった主張です。“常識君”は、「運が悪いこともあると思って今まで通りに」という主張です。皆さんはどうお考えですか。

 まず、パイロットに必要とされる条件は、航空医学研究センターのHPに載っています。視力は裸眼で0.7以上、両眼で1.0以上、BMI(ボディマス指数:肥満度を表す体格指数)は30未満、基本的にがんはだめ、血圧は160/95以下などと書いてあります。しかし、必ずこんな画像診断検査をしなさいというような項目の列挙はありませんでした。

 たとえば、大動脈解離を見逃さないためにはCT検査が必要です。その上、動脈が拡張して瘤化していない場合は、造影剤を使用してCT検査を行うか、または最新式の超高解像度のCTを用いないとわからないのです。つまり、パイロット並の検査を行っても、不測の事態は防ぎきれません。

 過去には、機長が脳出血や膵炎の発作などで操縦ができない状態になり、副操縦士が操縦したこともあるそうです。いくら検査をしても、突然の病気は防ぎきれないのです。だからこそ飛行機は2つ操縦席があって、操縦士に何かが起こっても、席を移動することなく即座に操縦が行える体制になっているのでしょう。飛行中に何か起これば、乗客乗員で犠牲になる人は相当な数に上ると推測されるので、当然の処置です。

 では、車にコックピットのように2つの運転席を設けて、運転ができる人が2人揃っている場合にのみ、飛行機のように運転可能にするということも極論ですが可能ですね。でも、そんな車は見たことがありません。技術的には可能でしょうが、いつも2人が揃っている状態で、どちらかが運転するというのは現実的ではありません。またパイロット並の検査をしても100%の安全を保障できないのですから、そんな素晴らしい設備の車でも心配は残ります。そうであれば、車を運転している人に何か起こるかもしれないと思って日常生活を送ることは理にかなっています。