NEW

笑えないコメディー『マネー・ショート』が浮き彫りにする、人間社会の悲喜劇

【この記事のキーワード】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【リアルサウンドより】

「お父っつぁん、煙草の灰がふとんに落ちて燃えてるよ。火を消しなよ」
「面倒くせえなあ。お前が消してくれればいいじゃねえか」
「おいらも面倒くせえんだよ。ああ、部屋が燃えてきたよ。いよいよ逃げなきゃ駄目だよ」
「逃げるのも面倒くせえ」
程なくして、この二人は焼死したという。古今亭志ん生による落語の一場面である。事実を基に金融市場や経済界の実態を描く映画『マネー・ショート 華麗なる大逆転』は、明白な問題がありながら目先の利益を優先し、誰ひとり現状を好転させるような手を打たなかった事態の顛末を、落語のように滑稽に描いている。

 ブラッド・ピット製作・主演で映画化された『マネー・ボール』の原作を書いたマイケル・ルイスの書籍「世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち」を、同じくブラッド・ピットが代表を務める「プランBエンターテインメント」が映画化したのが、本作『マネー・ショート 華麗なる大逆転』だ。1929年に起こった世界恐慌以来の世界的金融危機、通称「リーマン・ショック」で、銀行や企業、個人投資家などが阿鼻叫喚の狂態を繰り広げるなか、いち早く市場の動向を把握し、逆張りで大金を稼いだ一握りの人々の成功を描く物語である。

続きはこちら