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有馬賢治「日本を読み解くマーケティング・パースペクティブ」

池袋駅前に密集する家電量販店、なぜ共倒れにならない?奇妙な共存共栄の謎

解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=A4studio

「消費者にとって、欠品のリスクが低いということです。わざわざ出かけた以上は目当てのものを手に入れて帰りたいと誰もが考えます。ひとつのエリアで複数のよく似た専門店が出店していれば、仮に最初に入った店舗に探している商品がなかったとしても、別の店舗に行けば見つかる可能性は十分にあります。反対に、少ししか店舗のないエリアでは、そこに探しているものがなければ、『あのエリアに○○を買いに行くのはもうやめよう』と考えるでしょう。ところで、店舗が密集していれば、店舗同士の競争は当然激しくなります。ですが、店舗が多いほどそのエリアをショッピングの目的地として選択する消費者も多くなります。訪れる顧客が多ければ多いほど、店舗側も購買客を逃す機会を減らすことができるのです」(同)

 消費者側にとっても、店舗側にとってもチャンス・ロス(機会損失)を低下させられるため、マーケティング的にもこのように店舗が密集する現象は非常にメリットが大きいようだ。また、これは何も都心に限ったことではないという。

「地方のショッピングセンターやアウトレットなどの商業施設が大型化していますが、これは、周辺地域は勿論のこと、遠方からの集客も期待しての施策です。また、倉敷市の児島ジーンズストリートなど、特色を持たせて情報を発信することで全国から消費者を呼び込む試みも活発になってきました。財政に苦しむ地方都市も少なくないですが、特徴を上手く押し出すことで、地元以外の消費者を呼び込むことが期待できるのです。また、規模が大きければ大きいほど、比較の幅が広がるのでリピーターが増えやすくなります。都心にしても同じで、どれだけ消費者に街に出ることが“楽しい”と思わせ、“また来たい”と思わせることができるのかが集客のカギとなってきますね」(同)

 買い物本来の“楽しさ”を十二分に楽しめる施設やエリアが育ってくれば、実店舗が「価格.com」など低価格至上の相手に勝利する機会も増えてきそうだ。街づくりというものは、本来そうあるべきなのかもしれない。
(解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=A4studio)

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