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航空経営研究所「航空業界の“眺め”」

世界的に超異質…なぜ国内航空線でも大型機?羽田の制約、やっかいな整備・CA問題

文=稲垣秀夫/航空経営研究所主席研究員
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 さて、重量と床面積の関係は以下式の通りとなる。

・重量/床面積=比重×(1辺の長さの3分の2乗)

 同じ形、同じ比重でできたサイズの違うものを比較すると、重量は面積の1.5乗に比例している。

世界的に超異質…なぜ国内航空線でも大型機?羽田の制約、やっかいな整備・CA問題の画像2

 右のグラフは、ボーイング社の旅客機の機種ごとの機体重量と、客室面積とその比率をグラフで示したものである。このグラフは、機体サイズが大きくなればなるほど客室面積当たりの機体重量は大きくなることを具体的に示している。すなわち、機体は小さければ小さいほど座席当たりの機体重量は軽くなり、座席当たりの燃料コストも小さくなるのである。737と747では客室床面積あたりの機体重量は1.5倍になる。

 ちなみに、ここでいう機体重量とはオペレーティング・エンプティー・ウエイト(運航空虚重量)を指し、各機種の派生型はいずれも設計の基本となった初期の派生型を選択した。客室面積には座席のほか、通路、ロッカー、厨房、乗務員休憩設備の占める面積を含む。いずれも、ボーイング社のデータを引用した。

 なお、上述の重量による効果のほか、通路1本が横何列の座席をカバーしているかで、「座席面積÷客室面積、つまり客室床の有効利用の度合いは変わる。もっとも効率的であるのは1本通路で横6列をカバーするシングルアイル機であり、これを1とすると、2本通路(ツインアイル機)では3%(10列幅)~9%(7列幅)ほど客室床の有効利用率は低下する。

今後の機材について

 現状で進む原油価格の大幅な下落は、15年に航空会社へ大きな利益をもたらし、ほとんどの会社が好決算となった。一見、低燃費機の必要性は消えたかにもみえる。確かに、積極的に進むと思われた旧型機から新型機への機材更新は、昨年来わずかにスピードが緩んでいるようだ。とはいえ、今回の好決算は航空会社の設備更新を後押しする要因となるし、各航空会社は燃料価格のリバウンドをリスクとしてとらえているものと思われる。今後の航空会社間の競争においても、燃料コストのマネジメントは競争力を維持するための必須のツールとなるだろう。

 そのなかで、航空機メーカーの新型機開発も粛々と進んでおり、今年1月のA320neoの1月就航に続き、早ければ、来年春には737MAXが新規就航する予定である。新型機は15%の燃費向上をうたっているが、航続距離も伸び、路線網を広げることになるだろう。ここしばらくは小型機(シングルアイル機)の人気は大型機を凌駕し、その需要は衰えないものと思われる。
(文=稲垣秀夫/航空経営研究所主席研究員) 

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