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榊淳司「不動産を疑え!」

マンション購入で「最悪の失望」?投資目的で儲けマイナス、毎年価値減少でもコスト発生

文=榊淳司/榊マンション市場研究所主宰、住宅ジャーナリスト
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純粋な金融資産とは異なる特性

 確かに、賃貸で運用すれば債券の金利のように利回りを得られる。短期に値上がりすれば、株や投資信託のように儲かるかもしれない。しかし、マンションには純粋な金融資産とは決定的に異なる特性が2つある。

 まず、マンションは保有することにコストがかかる。賃借人が付いて賃料が得られなかったとしても、管理費や修繕積立金その他の費用を払わなければならない。固定資産税や都市計画税もある。これらの費用は、ざっくりと物件価格の1%程度が目安だ。

 付け加えれば、東京都心では賃貸住宅の空室率が20%を超えているエリアは珍しくない。利回りを得られるどころか、借り手が見つからなければ約1%のマイナス金利状態になる。保有することでかかるコストは、金銭面だけではない。マンションの区分所有者は自動的に管理組合の一員となる。管理組合の理事や理事長は、たいていの場合は輪番制だ。何年かに一度回ってくる。拒否できる場合もあるが、自らの資産を健全な状態に保つために、こういう義務は果たすべきだろう。

 2番目の特徴は、建物は時とともに劣化していくという点だ。最近の新築マンションは性能が向上している、といわれている。しかし、半永久的に住めるわけではない。また、日本に築60年を超えるマンションは存在しない。建て替えられているのは、ほとんどが築40年クラスのマンションだ。

 仮に50年使えるとすると、毎年建物の2%の価値が減じていくことになる。50年後に取り壊して土地を売却し、区分所有者に分配するとしよう。今の法制度では全区分所有者の5分の4が賛成しなければならない。これはあまり現実的ではないし、実現したケースを知らない。

 マンションは金融資産と似ているようで、実はかなり異なるものだ。よく不動産投資は「ミドルリスク、ミドルリターン」だといわれる。実際、その通り。元金保証の金融商品は利回りが1%を切っているものがほとんどだが、都心の新築マンションは計算上3%程度の利回りになることが多い。しかし、それは借り手が付いてこそ得られる利回り。確定ではない。

「値下がり」リスク

 そして、マンションには「値下がり」というリスクもある。このバブルが弾ければ、値上がりしたマンションの資産価値は確実に下がる。株のように「最悪は紙くず」になることはないが、半分以下になったケースはざらにある。さらに、最近では「欠陥建築」というリスクもクローズアップされている。

榊淳司/榊マンション市場研究所主宰、住宅ジャーナリスト

榊淳司/榊マンション市場研究所主宰、住宅ジャーナリスト

不動産ジャーナリスト・榊マンション市場研究所主宰。1962年京都市生まれ。同志社大学法学部、慶應義塾大学文学部卒業。主に首都圏のマンション市場に関する様々な分析や情報を発信。
東京23内、川崎市、大阪市等の新築マンションの資産価値評価を有料レポートとしてエンドユーザー向けに提供。
2013年4月より夕刊フジにコラム「マンション業界の秘密」を掲載中。その他経済誌、週刊誌、新聞等にマンション市場に関するコメント掲載多数。
主な著書に「2025年東京不動産大暴落(イースト新書)※現在8刷」、「マンション格差(講談社現代新書)※現在5刷」、「マンションは日本人を幸せにするか(集英社新書)※増刷」等。
「たけしのテレビタックル」「羽鳥慎一モーニングショー」などテレビ、ラジオの出演多数。早稲田大学オープンカレッジ講師。
榊淳司オフィシャルサイト

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