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伊藤忠、悲願の商社トップへ…凋落激しい三井物産と住友商事、丸紅にも抜かれる危機

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伊藤忠商事東京本社(「Wikipedia」より/Kakidai)

 年明け以降、原油など資源価格が一段と下落し、13年ぶりの安値を付けた。資源安は総合商社の業績見通しを直撃し、明暗が大きく分かれた。

 伊藤忠商事の岡藤正広社長は「総合商社で首位になった場合は、全社員に臨時の賞与を支給する」方針を明らかにした。臨時賞与が出るのは、2012年3月期に純利益が3000億円の大台に乗った時以来だ。それほど利益首位の座に就くのは歴史的快挙なのである。ただ、当初考えていた半分程度の金額に抑える。半額にしたのは「他商社が厳しい決算を強いられている中で、伊藤忠だけが浮かれているような印象を世間に与えるのはよろしくない」と判断したから。

 伊藤忠に首位の座を明け渡すことになる三菱商事は、4月1日付で小林健氏から垣内威彦氏に社長が交代し、首位奪還を目指す。

伊藤忠は過去最高益を更新できず

 伊藤忠の16年3月期の純利益は、前期比9.8%増の3300億円という期初予想を据え置き、このままいけば過去最高益を更新するとみられていたが、5月6日に発表した決算は、一転して前期比2割減益の2403億円となった。

 2期ぶりの減益だが、三菱商事、三井物産が税引き後赤字に転落することを明らかにしているので、伊藤忠が初めて利益で業界首位に立つことが確実となった。

 記者会見した岡藤正広社長は「不戦勝で一人だけ土俵に上がっているようなもので寂しい。トップになった喜びはあまりない。勝負は今期(17年3月期)だ」と語り、連覇に強い意欲を示した。

 非資源関連では繊維部門で衣料品のブランドの絞り込みや在庫処理を進め、食料品部門でも米食品大手ドールから買収した加工品事業の収益悪化に伴う減損処理などを行い、合計525億円の損失を計上した。欧州でのタイヤ小売り事業でも減損処理をした。

 資源安で採算が悪化した豪州の石炭事業の売却など資源関連も200億円の損失を出し、全体で750億円の損失となった。豪州の石炭事業の売却損170億円は追加計上したものだ。

 追加損失の計上を決めたのは3月下旬以降。三菱商事や三井物産が税引き後赤字になると発表し、商社首位が固まった段階で最終利益を897億円引き下げることを決断した。

 岡藤社長は「(会計の)ルールに従って損失計上しているが、まだ使える家具を処分したような感じだ」と述べ、現時点で見通せる最大の損失額を処理した。これは17年3月期の最終利益首位を死守するための政治的な決断といっていい。