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プロ野球「声出し」金銭授受 賭博罪で刑法違反、NPBはなぜ不問なのか

文=Legal Edition
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「声出しが刑法上の賭博に該当する以上、刑事責任を問われる可能性もゼロとはいえません。しかし、今回発覚した声出しについては金額が多額とまではいえず、また賭ける回数を無制限に増やせるタイプのものでもありません。このように、必ずしも悪質性が高くない事案であることに照らすと、関与した選手が実際に検挙され刑事責任を問われる可能性は極めて低いでしょう」(同)

 また、大空弁護士は、日本野球機構(NPB)が声出しについて「野球協約違反に当たらない」と判断したことにも一定の理解を示す。

「声出しが刑法上の賭博に該当するからといって、野球協約が禁止する『賭け』にも当然に該当するとは限りません。というのも、刑法上の賭博は50万円以下の罰金又は科料にとどまるのに対し、野球協約上の賭けをした場合には永久失格処分という極めて重大な処分が科されるからです。この点に鑑みれば、NPBが賭けに該当する範囲を限定的に解釈し、声出しを賭けの対象外と判断したことにも一定の合理性があるように思います。ただし、今後もNPBが声出しを賭けの対象外とし続けるかといえば疑問であり、取り締まりを強化することも十分に考えられます」(同)

 現在のプロ野球界は、覚せい剤取締法違反の罪で起訴されて保釈中の清原和博被告の騒動や野球賭博、声出し問題といった不祥事が続いて世間を賑わせている。

 2年連続で日本一となり年間90勝という大記録を達成し、“最強軍団”として名高い福岡ソフトバンクホークス。そのホークスの選手会長である長谷川勇也選手は、「選手間で常識として行われてきたことが、世間からは異常な行為と受け取られることを感じた」と話しているが、このコメントもどこか他人事のように聞こえる。

 子供たちに夢と希望を与える存在でなければならないプロ野球選手が反面教師にされているようでは、せっかく復活してきた野球人気にも悪影響だ。今回の問題発覚を機に、球界にたまっていた膿を一切出し切り、これ以上の金銭トラブルは避け、その一級品のプレーで日本を賑わせてもらいたいと切に願う。
(文=Legal Edition)

【取材協力】
大空裕康(おおぞら・ひろやす)弁護士
大空裕康法律事務所
大分県出身。京都大学法学部卒業。弁護士法人一番町綜合法律事務所、山川法律事務所の勤務を経て、平成26年4月、大空裕康法律事務所を開設。第一東京弁護士会刑事弁護委員。刑事事件のほか交通事故・債務整理等の民事事件も幅広く取り扱う。個人事務所ならではの丁寧な事件処理を心掛けている。

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