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金森努「マーケで斬る」

百貨店、本格的崩壊期へ…高齢者以外は来ず、看板外しただのテナントビル化

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 その一環で名古屋店にはヨドバシカメラを誘致している。また、現在建て替え中の松坂屋銀座店跡は、「マルチリテーラー戦略」に加えてインバウンド需要を極端に強化しているようで、現在銀座通りに路上駐車しているアジアを中心とした観光客のバスを、丸ごと館内に飲み込めるように建物地下にバスターミナルを完備設計するようになっているという。また、「『松坂屋』の看板がつかない商業施設とする」(同)というから驚きだ。

 松坂屋の展開は少々極端かもしれない。しかし、小型店に分裂化してテナントと化す方向性は今後、さまざまな形態を実験的に行いながらも加速するだろう。また、松坂屋のようにテナントビル化して看板を外すような店舗も増えてくるだろう。

 百貨店業界の蹉跌は、「バブル崩壊」というマクロ環境の大きな変化に対して、「ターゲット顧客は誰なのか」という再定義をきちんとせず、「お金を落としてくれる人がお客様」とでもいうように、可処分所得の高い高齢者を中心顧客に置いてしまったことに始まる。その結果、百貨店という業態自体が旧態依然としたポジショニングになり、若年~中年までの新規顧客層には魅力的に映らず、むしろ遠ざける結果となってしまった。さらにショッピングセンターなど業際を越えた新たな競合が勃興し、中心顧客すらも奪われるようになった。

 あとは、そのショッピングセンターなどの商業施設に百貨店としての売り場を分解して入店するか、自らが「箱」として集客力のあるテナントを迎え入れるという姿になっていこうとしているのである。

 どこか昭和な香りを残す「百貨店らしい百貨店」は、中高年の記憶の中だけにしか存在しなくなるのだろう。
(文=金森努/金森マーケティング事務所取締役、マーケティングコンサルタント)

●金森努(かなもり・つとむ )
有限会社金森マーケティング事務所取締役・マーケティングコンサルタント。グロービス経営大学院客員准教授(マーケティング・経営戦略)、青山学院大学経済学部非常勤講師(ベンチャービジネスとマーケティング)兼務。東洋大学経営法学科卒。大学でマーケティングに触れ、大手コールセンターに入社。顧客の「顧客の生の声」から、「この人はナゼ、こんなコトを聞いてくるんだろう」「ナゼ、こんなモノを買うんだろう」など、消費者行動に興味を覚え、深くマーケティングの世界に踏み込む。その後、コンサルティング会社や広告代理店を経て、2005年に独立。マーケティング一筋四半世紀以上を過ごす。新商品の上市計画や売れない商品の復活プラン策定などを得意とする。コンサルの現場・教育・執筆では、一貫してマーケティングにおける「顧客視点」の重要性を説く。
    
著書:『よくわかるこれからのマーケティング』(同文舘出版)
『“いま”をつかむマーケティング』(アニモ出版)
共著書:『ポーター×コトラー 仕事現場で使えるマーケティングの実践法が2.5時間でわかる本』(TAC出版) 等
   
・Contact → kanamori-kmo@nifty.com

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