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東電と関電等しか選べないという完全独占体制で、日本と国民が絶望的に失ってきたこと

文=横山渉/ジャーナリスト
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 こうした地域新電力のメリットは、地域内で資金を循環させることにより、関連産業への投資や雇用の促進を通じ、地域活性化に貢献できることだ。みやま市の例でいえば、これまでは同市民の電気代はすべて九州電力に徴収されていた。しかし、自由化によって少なくともみやまスマートエネルギーと契約している家庭の電気代は市内に落ちることになる。

 地域新電力もそうだが、太陽光や風力など再生可能エネルギーの販売を謳う電力会社も出てきた。会津電力のサイトの設立趣意には「16万人の『原発難民』を生んだ福島に、原発との共存はありえません」とある。福岡に本社を構える「自然電力」は3人の若者が実績ゼロから立ち上げたベンチャーだ。

 自分が使う電気がどのようにつくられているのか、すなわち発電方法を基準に電力会社を選びたいという人もいるだろう。ただ、日本では今のところ、電源構成表示が電力会社に義務付けられていないため、わからない部分も多い。とくに東電や関電などの大手電力会社は情報開示を渋っている。

 しかしながら、再生可能エネルギーだけ発電しているという電力会社を選んでも、残念ながら「自分の家の電気はクリーンな電気」ということにはならない。既存の送電網を使って送電しているため、送電線の中で火力や原発の電気と“混じって”しまうためだ。100%クリーンな電気を使うには、送電線まで別にしなければならない。

消費活動の自己決定権

 では、電力自由化は再生可能エネルギーの普及にとってなんら影響力がないのかといえば、決してそんなことはない。自由化によって、消費者の各家庭が1票の“投票権”を得たと考えればよい。短期的な利益を追い求めて料金が安い会社を選ぶか、少しくらい高くても長期的な視野に立って選ぶかは消費者次第だ。

 たとえば、少しぐらい電気料金が高くなっても、地元経済の活性化に貢献したいという思いから地域新電力を選ぶという選択肢があっていい。要するに、消費者にとって電力自由化の最大のメリットは、電気料金が安くなるかどうかという瑣末なことではなく、「選べること」「選択肢を得ること」自体なのである。「消費活動の自己決定権」の獲得だ。

 たとえば、不祥事を起こしたメーカーの売上が落ちることはよくある。企業の不正があまりにひどいと、不買運動だって起きる。大手電力が地域独占の時代は、イヤだなと思っても消費者は何もできなかった。しかし、これからは「契約を変えるよ」という意思表示ができるようになる。電力市場を消費者のものとすることができるのだ。

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