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徳岡晃一郎「世代を超えたイノベーションのために」

ゴディバ、5年で売上2倍の秘密は「弓道の精神」?日本企業が捨てた仕事の仕方を実践

文=徳岡晃一郎/経営コンサルタント、多摩大学大学院研究科長
ゴディバ、5年で売上2倍の秘密は「弓道の精神」?日本企業が捨てた仕事の仕方を実践の画像1ゴディバ HP」より

 バブル崩壊からすでに20年以上がたっているが、日本経済と日本企業の全般的低迷は、近年のアベノミクスの努力にもかかわらず長引いている。その過程で市場は企業に「結果」としての収益をより強く求め、それに応じて各社はなんとか収益を絞り出すために成果主義を取り入れた。テクノロジーの発展も加わり、結果を出すスピードがますます求められ、人々はすぐに成果を上げなければならないというプレッシャーにさらされ続けてきた。

 そんな状況がここ20年ほど続いてきたが、本質的な解決策は登場せず、むしろ一人ひとりの仕事に対するスタンスは、大いに“傷んで”きたのではないだろうか。

 とにかく結果を求められるあまり、丁寧な仕事をしたくてもできない。真面目に仕事に取り組まなくとも、結果さえ出ればよしとされてしまう。何が“きちんとした仕事”なのかも定義されない。これでは、仕事に対しての関心も深まらず、仕事への喜びも見いだせない。そんな職場には愛着も生まれない。

弓道と企業経営

ゴディバ、5年で売上2倍の秘密は「弓道の精神」?日本企業が捨てた仕事の仕方を実践の画像2『ターゲット ゴディバはなぜ売上2倍を5年間で達成したのか?』(ジェローム・シュシャン/高橋書店)

 こういった崩壊しつつある職場で悩む日本人に、フランス人でゴディバ ジャパン社長であり、かつ弓道家(五段)でもあるジェローム・シュシャン氏は、弓道の心構えが支えになると説く。その内容をまとめたのが、シュシャン氏の著書『ターゲット』(高橋書店)だ。

 日本企業に成果主義が導入される以前に日本人が大事にしてきた、「お客様への思いを込めた仕事」「一つひとつのディテールへの思いを込めた仕事」「正しいルーティンをきちんとよく考えて回すこと」「他社をよく研究したりお客様の声を聞いたりして自己満足に陥らないこと」など、日本人が大事にしてきた原点を、日本の文化でもある弓道の教えに立ち返って示してくれる。「正射必中」「正射正中」「一射一射」「矢所を見る」「見取り稽古」など、興味深い弓道の教えを紹介しつつ、私たちが忘れつつある原点を思い出させてくれるのだ。

 ゴディバ ジャパンはシュシャン氏の弓道の教えをベースにした経営によって、5年間で売上を2倍にしたという。結果(「的」)を追う、「的にあてる」のではなく、プロセスをきちんと理にかなったかたちで追えば、結果はついてくる。「的にあたる」のである。その具体的な戦略と方策も興味深い。確かにバレンタインデーやホワイトデーでも、ゴディバの斬新なCMやイベントに気づいた読者も多いのではないだろうか。弓道をベースにした経営の極意として、同書内でシュシャン氏はこう述べている。

徳岡晃一郎/経営コンサルタント、多摩大学大学院研究科長

徳岡晃一郎/経営コンサルタント、多摩大学大学院研究科長

ライフシフトCEO
多摩大学大学院教授、研究科長、フライシュマンヒラード・ジャパン シニア・ヴァイス・プレジデント、多摩大学社会的投資研究所所長

1957年生まれ。東京大学教養学部卒業。オックスフォード大学経営学修士。日産自動車人事部、欧州日産を経て、99年フライシュマン・ヒラード・ジャパンに入社。人事およびコミュニケーション、企業文化、リーダーシップなどに関するコンサルティング・研修に従事。2014年より多摩大学大学院研究科長、2017年ライフシフトを設立、CEOに就任。主な著書に『MBB:「思い」のマネジメント』(共著、東洋経済新報社)『未来を構想し、現実を変えていく イノベーターシップ』(東洋経済新報社)、『人事異動』(新潮社)、『ミドルの対話型勉強法』(ダイヤモンド社)、『人工知能Xビッグデータが「人事」を変える』(共著、朝日新聞出版社)、『しがらみ経営』(共著、日本経済新聞出版社)など他多数。
株式会社ライフシフト

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