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すぐにパワハラ受けたと騒ぐ部下、気づかずパワハラ三昧の上司…違法の境目はこれだ!

文=Legal Edition

 そして、違法なパワハラとなると、民法上の不法行為に該当する可能性がある。民法上の不法行為に該当すると、被害者は加害者や会社に対して損害賠償請求をすることが可能となる。また、同時に労働契約上の安全配慮義務違反を理由として、被害者は会社に対して債務不履行による損害賠償請求も可能となる。

「ただし、感じ方、受け止め方は人それぞれで個人差がありますから、従業員が不快に感じた行為がすべて違法なパワハラとなるとは限りません。また、業務上必要な範囲の適切な注意指導、教育、指示にあたる場合には、それが業務上適正な範囲である限りパワハラとは評価されません。結局のところ、問題となっている行為が、業務上適正な範囲であるかどうか、行為の態様、回数、程度、その人の人権を不当に侵害しているかどうかという点から、総合的に判断することになります」(浅野弁護士)

 本人が違法なパワハラを受けたと感じても、裁判所では総合的な判断の結果として、その行為が損害賠償の対象となるような民法上違法なパワハラとまでは判断されない場合があるという。そうなると、本人の価値観と裁判所の判断が異なる可能性もあり、闇雲に訴えることが妥当ではないだろう。それでは、違法なパワハラを受けたと感じた場合には、どのように対処すればいいのであろうか。

「たとえ違法なパワハラだとしても、その程度が軽度であれば損害賠償請求ではなく、会社内で話し合い、再発防止策を構築、当事者の異動・配置転換といった方法によって解決したほうがよい場合もあります。ですから、闇雲に裁判をするのではなく、まずは話し合いでの解決を目指すべきでしょう」(同)

 違法なパワハラは絶対に許されるものではない。会社は雇用する立場なのであるから、従業員が働きやすい環境を提供する努力をすべきだ。一方で従業員側も、少し注意されたからといって、何から何までパワハラと決めつけて事を荒立てるのは、いかがなものかと思われる。

 会社が働きやすい環境をつくり、従業員は気持ちよく会社のために一生懸命働く。パワハラという言葉が死語になるような社会が築かれることを望むばかりだ。
(文=Legal Edition)

【取材協力】
浅野英之(あさの・ひでゆき)弁護士
浅野総合法律事務所 代表弁護士
労働問題・人事労務を専門的に扱う法律事務所での勤務を経て、四谷にて現在の事務所を設立、代表弁護士として活躍中。労働問題を中心に多数の企業の顧問を務めるほか、離婚・交通事故・刑事事件といった個人のお客様の悩み解決も得意とする。労働事件は、労働者・使用者問わず、解決実績を豊富に有する。

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