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あの有名ベンチャー企業、資金ショート危機を一旦脱出…「継続企業の前提に重要な疑義」

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「Thinkstock」より
 創薬ベンチャーのアンジェスMG(東証マザーズ上場)が、またもエクイティファイナンス(新株発行を伴う資金調達)を発表した。しかも今回は、「最後の駆け込み寺」といわれる証券会社が新株の引き受け先。今後の展開が注目される。


 アンジェスは遺伝子治療薬やアトピー性皮膚炎などの治療薬の開発を目指している。2002年の株式上場以降は、市場に出れば日本初となるHGF遺伝子治療薬「AMG0001」が有望な新薬候補だ。血管の新生作用があり、糖尿病などで下肢が壊死して切断せざるを得ない患者を、注射一本で治療できる可能性がある。

 一時は臨床試験を終了し、08年には製造販売承認の申請を行ったが、のちにこれを取り下げた。詳細は不明だが、当時、厚生労働省に臨床データ不足を指摘されたとの見方があった。

 ここから、開発資金を捻出する苦労が始まる。13年に技術者派遣の夢真ホールディングスなどを引き受け先に第三者割当で約4億円を調達、翌年にも投資ファンドに新株を割り当て、4億円を得た。14年には既存株主から払い込んでもらうライツイシューで資金を調達。証券会社が引き受け責任を負う公募増資ができず、払い込んでくれる第三者も見当たらず、既存の株主に泣きついた格好となった。

 15年3月にはアトピー性皮膚炎治療薬(NF-kBデコイオリゴ)の開発を目的に株式発行を決議したものの、27億円の調達のはずが株価の下落で7億円強の調達にとどまった。

 資金調達に苦労するのは赤字垂れ流しの業績が要因だ。15年12月期の営業損益は41億円の赤字で、前年の22億円の赤字から拡大。さらに今期は赤字が64億円にまで拡大する見通し。継続企業の前提に重要な疑義が付されている。前期末の同社の現預金は20億円強で、何もしなければ資金ショートのリスクも考えられる状況。

 そして今回、アトピーや椎間板性腰椎症領域の開発資金として、3月25日に新株予約権(第三者割当)で、約28億円の調達を行うと発表した。割当先は全額三田証券。発行価格は235円で、当初行使価格は435円。ただし、236円に修正される可能性がある。

最後の駆け込み寺


 三田証券はかつて、破綻した橋梁工事のサクラダの第三者割当増資を引き受けたことがあった。サクラダは12年1月に新株予約権で10億円を調達し、全額を三田証券が引き受けた。行使価格は10円。三田証券は筆頭株主となったが、その年の9月末には保有がゼロとなっていた。すべて売り抜けたのである。