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日向咲嗣『「無知税」回避術 可処分所得が倍増するお金の常識と盲点』(9月3日)

同じマンションでも家賃に倍の開き?簡単に家賃を下げる交渉&情報収集術

文=日向咲嗣/フリーライター
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同じマンションでも家賃に倍の開き?簡単に家賃を下げる交渉&情報収集術の画像1「Thinkstock」より
 あなたは、同じアパートマンションで隣の部屋の2倍の家賃を払っているかもしれない。

・今の家に4年以上住んでいる
・同じ建物内に空室がある
・近所に新築物件が建った

 上の3つのうち1つでも当てはまる人は、今すぐ家賃検索をするべきだ。そうすると「今月末までにご契約の方は賃料1万円引き。さらに年内に限り賃料半額」などの文言が見つかる可能性がある。

 実際に、都心から快速電車で1時間弱で着く千葉県西部の私鉄沿線にある物件の実例を見てみよう。駅から徒歩7分の学生向け1K(19平米)のアパートで、築25年と建物は古いものの全20室バストイレ付きのごく標準的な2階建て賃貸物件。大学まで自転車で15分程度という近さが特長で、5年前なら5万円でもすぐに埋まっていたというが、現在の正規家賃は3万8000円。

 しかし3カ月以上空室が続いたため、思い切って1万円下げたうえに、半年間は家賃を半額にするウルトラCを打ち出した。結果、入居時の家賃は、なんと1万4000円までダウン。翌年からは2万8000円に戻るものの、少し前に3万8000円で入居した人からすれば、それでも破格なことに変わりはない。ましてや5年以上前から5万円の家賃を改定しないまま住み続けている人からすれば、同じ建物の部屋に2倍近い家賃を払い続けているのだから、おそろしく理不尽な話だと感じるだろう。

 読者諸氏もそうならないために、今住んでいるアパート・マンションの別の部屋がいくらの家賃で入居者を募集しているか、ぜひ一度調べてみてほしい。

「強気」の根拠を示す

「SUUMO」「Yahoo!不動産」「HOME’S」などの賃貸住宅情報サイトで、自分が住んでいる地域を指定して、いまの部屋と同等の広さや間取り、駅までの所要時間、築年数などの諸条件を入れて検索してみよう。その検索結果を家賃の安い順に並べ変えてみると、今の家賃が安いか高いかは一目瞭然のはず。

 検索結果の中に、自分が住んでいるアパート・マンションの部屋が見つかれば話は早い。自分は7万円払っているのに、ほかの部屋が6万円で募集されていれば、管理している不動産業者(または大家)に、6万円まで家賃を下げてくれるよう交渉するべきだ。漠然と「高いので下げて」と言うのは単なる「お願い」だが、「隣の部屋と同じ6万円にしてほしい」と正当な根拠を挙げて主張することは、立派な「交渉」となり得る。

 交渉で大切なことは、決裂したらどうなるかを必ず相手に示すこと。つまり、下げてくれなかったら、引っ越すという意志を明確に伝える。いつまでも高い家賃を我慢する理由はない。「もし下げてくれるのなら長く借り続けるけど、下がらないのなら出て行く」と強気に出るわけだ。必ずしも本当に出て行く必要はない。

 もちろんそのためには、交渉の材料が不可欠。交渉の成否は、「強気」に出られるだけの根拠(=下がっている家賃データ)を見つける情報収集力にかかっているといっても過言ではないのである。

「調べてみたけど、まったく下がっていなかった」という人は、継続して賃貸住宅情報サイトのデータを観測し続けてほしい。その募集家賃が適正か割安な水準であれば、募集データはすぐに消えてなくなるはずだが、2カ月あるいは3カ月同じ家賃で掲載され続けているなら、明らかに市場は「高い」と判断している証拠だ。内覧者が一声かければ安くなる可能性は大きい。募集家賃は8万円でも、実際の成約家賃は7万円かもしれないのである。

フリーレントの有無も調べて、適正家賃を計算

 一定期間家賃を無料にするフリーレントがついていないかどうかも要チェックポイントだ。

 以前、当サイト記事『家賃は崩壊している?「平均的な家賃」のウソ 不動産業界のいびつな情報流通構造』で述べたように、家賃を下げていることをほかの店子に知られたくない大家は、できるだけ家賃以外の部分でアピールする傾向があり、その最大の武器がフリーレントだ。3カ月以上空室になりそうな部屋に今すぐ入ってもらえるのなら、1~2カ月は無料にしても十分元が取れるとする計算である。

 募集データにその旨の記載がなければ、仲介している不動産業者に「ここのマンションにフリーレントは付きますか?」と問い合わせてみるといいだろう。近隣同種と比べて明らかに高い家賃で何カ月も募集している物件のほとんどは、交渉次第でフリーレントが付くと考えていい。そうやって判明したデータを元に適正家賃を導き出そう。

 例えば、家賃8万円の部屋でフリーレント3カ月分計24万円相当が付いていた場合、2年間の実質家賃に直せば月1万円下げているのと同じだから、「1万円下げてほしい」と要求しても不自然ではない。実際には、引っ越しに伴う諸々の労力や費用を考慮して、「5000円安くなるのなら住み続けてもいい」と、あらかじめ落としどころを設定して交渉に臨むといいだろう。

 それすら拒否されたのなら、1日も早く今よりも安くて条件のいい部屋に引っ越すべきなのはいうまでもない。売り手市場から買い手市場に潮目が大きく変わった賃貸住宅の世界は、今や携帯電話と同じく、何もせずに契約を長期に継続している人ほど、高い料金を払うはめになるのだ。
(文=日向咲嗣/フリーライター)

日向咲嗣/ジャーナリスト

日向咲嗣/ジャーナリスト

1959年、愛媛県生まれ。大学卒業後、新聞社・編集プロダクションを経てフリーに。「転職」「独立」「失業」問題など職業生活全般をテーマに著作多数。2015年から図書館の民間委託問題についてのレポートを始め、その詳細な取材ブロセスはブログ『ほぼ月刊ツタヤ図書館』でも随時発表している。2018年「貧困ジャーナリズム賞」受賞。

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