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クックパッド、創業者の横暴で株主に多大な損失…批判ばかりで具体案示せず、上場企業失格

文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント

 公開会社の場合、上記の要件を満たしていれば誰でも株主提案が認められている。それは資本主義では望ましく、健全なシステムといえる。まして最大株主である佐野氏なら、自分の利害(株価の上下、配当の増減)にかかわることなので、何を提案してもいい。

 佐野氏は昨年末よりクックパッドに対して、穐田経営陣の刷新を求める動きをしていたという。年が明け、株主総会に向けて佐野氏自身を社長にするよう株主提案を受けたと同社が発表していた。

 しかしその後、佐野氏側と穐田経営陣の話し合いにより、佐野氏側から複数の役員を出す株主提案とする合意が形成され、騒動は一段落したかに見えた。

創業14年、楽をしようとして穐田氏を2代目に招聘したのか

 クックパッドは1998年に佐野氏によりkitchen@coinとして開設された。その後は順調に発展し、09年にマザーズへ上場し、11年には東証1部に市場変更を果たしている。穐田氏は12年に社長に就任している。前職はカカクコムの2代目社長として辣腕をふるい、同社を成長へ導いた。クックパッドが順調に発展して上場まで果たしたので、佐野氏は少し楽をしようとして穐田氏に譲ったと見ることができる成り行きだ。

 経営者も人間なので、完全であるわけではない。いつも「合目的」的に行動するわけでもないし、試行錯誤をしたり集中を欠いたりして不整合と見える動きをすることは珍しくもない。せっかく招聘した2代目社長がとんでもなく成果を出すと、複雑に思ってしまうオーナーは実は少なくない。最近の例では、LIXILの藤森義明社長はプロ経営者として立派に職責を果たしていたのだが、創業家の潮田洋一郎氏は藤森氏の退任を実現した。潮田氏は、この公開企業の株式の3%しか保有していないが、オーナー的に振舞っているようだし、遇されている。

 穐田氏采配下のクックパッドは、好調な業績を示していた。15年12月期で年商(連結ベース、以下同じ)は対前年比60%増、営業利益も65%増である。年商は147億円で営業利益は65億円、その営業利益率たるや44.2%という高率を叩き出したばかりだ。

 佐野氏がおもしろく思わなくなった契機のひとつとして、15年5月にみんなのウェディングをTOB(株式公開買い付け)により買収・統合したことだったかもしれない。「料理の分野で伸びていく」としていた佐野氏の範疇を、自身が創った会社が越えていってしまうと感じたのかもしれない。

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

経営コンサルタント、MBA経営代表取締役。20年以上にわたり外資4社及び日系2社で社長を歴任。業態・規模にかかわらず、不調業績をすべて回復させ「企業再生経営者」と評される。実践的な経営戦略の立案指導が専門。「戦略カードとシナリオ・ライティング」で各自が戦略を創る「経営者ブートキャンプ第12期」が10月より開講。1949年生まれ。学習院大学修士。米国サンダーバードMBA、元同校准教授・日本同窓会長。法政大学博士課程(経営学)。国際経営戦略研究学会員。著書に 『本当に使える戦略の立て方 5つのステップ』、『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』(共にぱる出版)、『あなたの会社は部長がつぶす!』(フォレスト出版)、『MBA社長の実践 社会人勉強心得帖』(プレジデント社)、『MBA社長の「ロジカル・マネジメント」-私の方法』(講談社)ほか多数。
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