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中国、エコカーブームは壮大なる捏造?ディーラー自殺事件、政府補助金詐取が横行…

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「Thinkstock」より

 中国自動車業界がエコカーブームに沸いているという。中国汽車工業協会によると、1月から2月までのエコカー販売台数は3万5726台となり、前年同期比2.9倍に増えている。

 ほんの数年前まで業績が振るわなかったはずの「比亜迪(BYD)」の業績も、プラグインハイブリッド(PHV)や電気自動車(EV)の販売増が押し上げている。2015年の売上高は前年比37.49%増の800億1400万元(約1兆3600万円)で、純利益は前年比5.53倍の28億2900万元(約480億9000万円)と、驚異的な成長を達成している。

 ところが、ここにある疑惑が持ち上がっている。

 事の発端は3月9日。同11日付「新京報」などによると、江蘇省南京市でBYDのディーラー「蘇舜亜通」を経営する劉鵬氏が事務所で自殺しているのが発見された。遺書には、ずっと赤字続きだったことが記されていた。

 元従業員の話によると、劉氏はBYDとの口約束で1台販売するごとに2万元(約34万円)のキックバックを受け取ることになっていたという。ところが実際は2000元(約3万4000円)しか支払われていなかった。一方、BYD側は南京市政府から蘇舜亜通が受け取ったはずのエコカー補助金の2000万元が振り込まれていない上に、貸し付けた1000万元(約1億7000万円)の返済がないと反論している。

 エコカー補助金は13年から開始された政策で、PHVやEVなどの新エネ車を販売したメーカーが、政府から補助金をもらえる優遇制度だ。補助金は、実際に車を販売したディーラーを通してメーカー側に渡るシステムとなっている。

 蘇舜亜通は、13~14年の2年間にタクシー向け乗用車400台とバス650台を販売。キックバックを1台当たり2万元で計算すると、だいたい2000万元になる。劉氏は約束のキックバックがもらえないために、受け取った補助金をBYDに渡さなかったようだ。

 しかし、このBYDが権利を主張する補助金だが、詐取されたものであるという疑惑が持ち上がった。劉氏の母親が、劉氏は生前にBYDの担当者と共謀して補助金を詐取したと当局に暴露したのだ。

補助金詐欺が横行

 業界関係者によると、補助金詐取はBYDに限らず広く行われており“公然の秘密”となっているという。「新京報」によれば、15年に中央政府と地方政府が支払ったエコカー補助金は100億元(約1700億円)を超えており、まさにばらまき状態。そんななか、メーカーやディーラーが架空のエコカー販売をでっち上げ、政府から補助金を詐取する手口が横行しているというのだ。

 エコカー向けナンバープレートが実際に発行された枚数は、申告されたエコカー販売台数の半分にとどまっているともいわれている。

「蘋果日報」によれば、BYDは昨年上半期だけで3億3000万元(約56億1000万円)もの補助金を手にしたというが、このうちのいくらかが詐取されたものである可能性もある。

 政府が指定するエコカー補助金の対象車種は圧倒的に中国メーカー製が多く、事実上の国産車優遇策といってもいい。中国経済の減速に伴い、2月の自動車販売台数はついに前年割れに陥ったにもかかわらずプラス成長を維持している中国メーカー。しかし実は、エコカー補助金を不当に貪ることで生きながらえているだけなのかもしれない。
(文=大橋史彦)