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セブン&アイ、子会社幹部と取引先の癒着疑惑…不明朗なアイドルグッズ取引、経営混乱の発端

文=山口義正/ジャーナリスト

 しかし関係者によると「業績の責任をとって辞めたことに間違いはないが、それだけが理由ではない」という。確かに戸井氏やその周辺がどのような処遇を受けたかをたどると、不可解な点がいくつも浮かび上がる。

 戸井氏は社長の辞任とともに「社長付」となり、社長から一気に一般社員の扱いに落ちた。そのわずか3週間後の1月29日にはさらに「社長付を解く」という辞令が出て、2月末でヨーカ堂を去っている。対外的な公表はない。会社から放逐されたかのような扱いで、ヨーカ堂の社長を務めていた人物に対する処遇としては違和感が残る。

 戸井氏は衣料関連畑で実績があり、14年5月にヨーカ堂の社長に就任した。セブン&アイHDでのポジションは常務執行役員である。「社員の前で怒った顔を見せたことがなく、人望の厚い人だった」というのが、戸井氏に対するヨーカ堂関係者たちの評である。

 4月7日に発表された決算では、ヨーカ堂は139億円の営業赤字を計上。衣料品の在庫を処分したことで粗利益率が低下したことなどが響いた。

 実はこの赤字転落には、人事面での伏線があった。15年1月7日付で発表された異動では、執行役員衣料事業部長を務めていた池田安希子氏が同副事業部長に下がり、戸井氏が衣料事業部長を兼任することになったのだ。その後まもなく始まった新年度、つまり16年2月決算期では、ヨーカ堂の業績不振の一因である衣料事業で赤字を出して在庫を処分に踏み切った。ヨーカ堂社内では従来、「衣料品事業は100億~200億円規模で、在庫の問題を抱えている」との見方が根強く、これを一掃したとみられる。戸井氏が強力なリーダーシップを発揮しなければできなかったはずだ。

 必要な手は、思い切って打った。戸井氏は今年1月4日に開かれた新年の朝礼で社員を激励してやる気をみなぎらせ、「辞任のそぶりなどまったく見せていなかった」(関係者)だけに、その4日後の辞表提出に誰もが驚いた。

アイドル関連グッズ購入めぐる不可解な動き

 話を元に戻す。戸井氏の辞任に続き、取締役常務執行役員として戸井氏を支えていた青木繁忠氏も2月1日付で辞任した。青木氏は社内では「鈴木氏の子飼いの部下で、社内の実力者」と恐れられていた人物だ。社長が任期の途中で突然辞任し、実力者だった常務も任を解かれたことと、冒頭で紹介した女性アイドルの関連グッズは水面下でつながっているとの見方がある。

山口義正

山口義正

ジャーナリスト。日本公社債研究所(現格付投資情報センター)アナリスト、日本経済新聞記者などを経てフリージャーナリスト。オリンパスの損失隠しをスクープし、12年に雑誌ジャーナリズム大賞受賞。著書に『サムライと愚か者 暗闘オリンパス事件』(講談社)。

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