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牧野知弘「ニッポンの不動産の難点」

平成バブル超え、マンション高騰…実需なき不動産投資、膨張の末の激烈な副作用

文=牧野知弘/オラガ総研代表取締役

 不動産も一見すると好調だ。東京都心を中心に老朽化したオフィスビルの建替えラッシュが起こっている。2~3年前に比べて2割以上も価格が高くなったマンションも、タワーマンションを中心に販売は好調だといわれている。

 しかし、足元の日本経済は覚束ない。消費税増税後の個人消費は一向に回復せず、株価の上昇にも明らかに陰りが見え始めた。むしろ、不穏な世界情勢に影響され企業収益の伸びも止まり、多くの企業経営者が雲行きの怪しくなったお天気を気にしている。そんななかで日本銀行は「マイナス金利」政策を導入。金利をマイナスにしてまで金融機関にカネを出させようと鞭を振るい始めている。

 今の日本は平成バブルの頃のような内需拡大に期待できなくなっている。生産年齢人口は89年と比べて790万人も減少、全体人口に占める割合も61%にまで落ち込んでいる。高齢化現象も著しく、市町村によっては65歳以上の高齢者が全人口に占める割合が50%を超えるところまで出現している。

 景気の良い大企業の多くは、実は日本国内で稼いでいるわけではない。したがって、これまでのアベノミクスの後押しで稼いだマネーは国内には還流せずに、大企業の懐に収まっているだけで、中小企業、ましてや個人の懐が潤うことにつながっていない。

 海外で稼ぐような大企業にはもともと「資金需要」などほとんどないことに、金融機関はとっくの昔に気づいている。それでも国はお金を「どこかに」貸し出せという。一向に業績が改善しない中小企業にはすでに限度額以上のカネをつぎ込んでおり、新たな資金供給というよりも、現状をなんとか維持するための生命維持装置を機能させることしか金融機関がする仕事はないのだ。

魔法の杖

 金融機関が緩み切ってしまった財布からお金を落としていく先は、もはや不動産しかない。不動産は金融機関にとって、貸出額を伸ばす「魔法の杖」だ。不動産は取引金額が大きく、一度の融資で多額のマネーを貸すことができるからだ。

 また貸出金の回収も短期ではなく、数年から十数年に及ぶのも都合が良い。多くの金融機関の行員は同じ部署にいるのは長くて3~4年。不動産融資を行った結果を見届けることなく担当部署を離れることができるので、あとから責任を問われることも少なくなる。

牧野知弘/オラガ総研代表取締役

牧野知弘/オラガ総研代表取締役

オラガ総研代表取締役。金融・経営コンサルティング、不動産運用から証券化まで、幅広いキャリアを持つ。 また、三井ガーデンホテルにおいてホテルの企画・運営にも関わり、経営改善、リノベーション事業、コスト削減等を実践。ホテル事業を不動産運用の一環と位置付け、「不動産の中で最も運用の難しい事業のひとつ」であるホテル事業を、その根本から見直し、複眼的視点でクライアントの悩みに応える。
オラガ総研株式会社

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