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新見正則「医療の極論、常識、非常識」

過度の抗菌や潔癖は体に危険?かえって汚いほうが病気予防&健康?

文=新見正則/医学博士、医師

 確かにそうですね。無菌論者の極論君の対応では、体に必要な、体にとってためになる善玉菌も駆除されます。ナイロンタオルと液体石けんでごしごし体を洗うと、菌も洗い流されますが、垢も取れます。垢は皮膚のバリアの一部ですから、必要以上にこすり取ると弱い皮膚になります。かえってアトピーが悪化することもあります。

 そして体には免疫があります。子供の頃から少々体に悪い菌に暴露されていると、それに対する免疫が出来上がります。つまり、だんだんと強い体になるのです。問題は、免疫ができていないのに命にかかわるようなばい菌に遭遇すると、それこそ「命取り」になります。いろいろな環境下で、だんだんと強くなるのが体です。そして人が集まる組織も、集団も、実は些細な困難に適度にさらされているほうが、ひるまない、壊れない、そして倒れそうになっても復活できる力を保てます。

 つまり、極論君と非常識君の間で、そして少なくとも命にかかわるような悪玉菌は除去する一方で、弱毒の悪玉菌を数少なく持つことによって、体の力強さ、つまり免疫を培うことが大切にも思えます。さらに折れない心の強さ、折れても復活できる対応力の強化も実は必要です。極論君と非常識君の間に答えがあることは間違いないでしょうが、どの程度を実行すればいいのかはまだ未知の領域です。

 常識君は、「少々汚いぐらいの世界を生き抜くことが良いように思える」と、今回はホンネを漏らしていました。
(文=新見正則/医学博士、医師)

新見正則/医学博士・医師

新見正則/医学博士・医師

1959年生まれ
1985年 慶應義塾大学医学部卒業
1985年~ 慶應義塾大学医学部外科
1993~1998年 英国オックスフォード大学医学部博士課程
1998年~ 帝京大学医学部外科に勤務

 幅広い知識を持つ臨床医で、移植免疫学のサイエンティスト、そしてセカンドオピニオンのパイオニアで、モダン・カンポウやメディカルヨガの啓蒙者、趣味はトライアスロン。著書多数。なお、診察希望者は帝京大学医学部付属病院または公益財団法人愛世会愛誠病院で受診してください。大学病院は紹介状が必要です。

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