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ルディー和子「マーケティングの深層と真相」(4月21日)

苦境ユニクロ、密かに進む壮大な計画…商品で2千種の組み合わせから自由に選択

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ユニクロの店舗(撮影=編集部)

 小売業は常に次の3つの在庫ロス(在庫からくる損失)に悩まされてきた。

(1)少なく需要予測したために在庫がなくなり、本来なら売れるべきものの販売機会を失う機会ロス

(2)販売機会ロスを避けようと多くつくりすぎてしまったために、値下げをしなくてはいけなくなる値下げロス

(3)あるいは、値下げしても残ってしまったために廃棄しなくてはいけなくなった廃棄ロス

『合理的なのに愚かな戦略』(ルディー和子/日本実業出版社)
 このように、売り上げは増えても需要予測を間違ったために値下げロスや廃棄ロスが出て、利益が下がってしまったという例はよくある。

 特にファッションのような衣料品小売業においては、食品と同じように新鮮さがウリとなるため、在庫ロスを小さくすることがビジネスの成否を決めるカギとなる。

 上記3つの在庫ロスのうち、ひとつを甘受することによって利益を上げようとしたのが、ZARA(スペイン、インディテックス)やH&M(スウェーデン、エイチ・アンド・エム ヘネス・アンド・マウリッツ)といったファストファッションだ。

 よく言う「売り切れ御免」の方針で、流行している鮮度のよい商品を少量生産。売れても無理な補充はしない。その代わり、ZARAなどは1週間に2回新商品を店舗に並べる。機会ロスを最初から受け入れることによって、残りの2つの損失である値下げロスや廃棄ロスを避けることができる。

 ZARAのビジネスモデルが有名になった2000年代初めの調査によると、競合企業が全商品の30~40%を値下げして販売する結果となっているのに対して、ZARAは15~20%と約半分。売上高における利益率が高くなるのは当然だ。

 定番商品の大量生産による低価格を売りとするファーストリテイリングが展開するユニクロは、正確な需要予測や変化に迅速に対応できるサプライチェーンマネジメントで3つの在庫ロスと戦ってきた。しかし、地球温暖化による予測を超える気候変動などに対処することは難しい。昨年の冷夏や暖冬で売り上げが下がれば、値下げで在庫をさばこうとするために利益が低下する。