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田中洋「マーケティングのキーインサイト」

日本人のテレビ視聴時間、実はネットの7倍…8割の人が「テレビつまらない」と感じるワケ

文=田中洋/中央大学ビジネススクール教授

ネットは意外と普及してない?

 ではネットの「視聴」はどうでしょうか。ここでも前出調査から、インターネットの「行為者率」をみてみます。この場合の行為者とは、ネットに仕事・学業・通信以外の目的で、趣味・娯楽・教養などの目的で接触する人と定義されています。つまりネットをメディアとして楽しむ目的で使っている人たちです。ネットの行為者率は10年から15年にかけて増加しています。

 ただし、増加しているといっても、その比率は15年で国民全体で23%(平日)、26%(土曜・日曜)程度なのです。逆にいえば、「趣味・娯楽・教養」メディアとしてのネットのユーザーはまだ国民の4分の1ほどであることがわかります。

 性別、年齢別でもっとも行為者率の高いのは10代男性(日曜)の45%です。つまり、もっともネットに接触していてよさそうな若年であっても、まだ半数以上がネットで楽しむという生活ではないことになります。

 繰り返しになりますが、ここに含まれる行為者率とは「ホームページ・ブログを見る・作成する、掲示板・SNSを見る・書き込む、動画を見る、ネットオークション・オンラインゲームをする」を行っている人々のことです。つまり、ネットを「趣味・娯楽・教養」のメディアとして、テレビなどほかのメディアと比較可能にした割合を示しています。メールで友人と通信する人や、仕事、学業でネットを利用している人はここには含まれていないことに注意してください。

 総務省の15年発表のデータによれば、日本人全体では82.8%がネットを利用しており、20代では99.2%が使用しているということです。あくまでも仕事や通信(メール)を含んだ数字であることに注意してください。

ネットを娯楽メディアとして使用する人は半数以下?

 では、趣味・娯楽・教養で使われるネットの時間量(一日何時間そのメディアを使うか)ではどうでしょうか。国民全体では一日当たり、平均平日28分、土曜38分、日曜43分で、10年と比較して、それぞれ5分、9分、12分増加しています。性年齢別で最も長くネットに接触しているのは20代男性層(日曜)で、一日当たり2時間4分で、テレビの1時間54分と比較しても長くなっています。

 日本人全体でネットを娯楽メディアとして使用している人が半数もいないということは、テレビに比較して、まだネットはテレビと匹敵するだけのメディア力を得ていないように思えます。

田中洋/中央大学ビジネススクール教授

田中洋/中央大学ビジネススクール教授

京都大学博士(経済学)
日本マーケティング学会会長、日本消費者行動研究学会会長を歴任。
1975~1996 21年間、㈱電通勤務。
1996~1998 城西大学経済学部助教授
1998~2008 法政大学経営学部教授
2003・4年度コロンビア大学ビジネススクール客員研究員
2008~2022 中央大学ビジネススクール教授
2022~ 中央大学名誉教授
元・東証一部上場・ソウルドアウト株式会社社外取締役
関心領域:マーケティング論・ブランド論・広告論
田中洋 中央大学ビジネススクール教授のオフィシャルサイト

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