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田中洋「マーケティングのキーインサイト」

日本人のテレビ視聴時間、実はネットの7倍…8割の人が「テレビつまらない」と感じるワケ

文=田中洋/中央大学ビジネススクール教授

 数字のうえだけで比較すれば、行為者率ではネットは23%(平日)であるのに対して、テレビは85%で、インターネットの3.7倍もあります。時間量(平日、国民全体)では、テレビ(3時間18分)はインターネット(28分)よりも7倍も強いパワフルなメディアということになります。つまり趣味・娯楽・教養という側面から見たメディアという点で、ネットはテレビにまだ追いついていないことになります。

 こうした結果は、「私の直感とは違う」という人もいると思います。

 ネットがもっとも強いセグメントのひとつである20代男性で比較してみましょう。この層では、ネットの時間量で最も長い時間帯である日曜日は2時間4分(参考値)、行為者率47%(参考値)となります。テレビはそれぞれ、1時間54分、67%ですので、ネットはテレビよりも1.1倍、0.7倍の「パワー」があることになります。ここだけを取り出して「ネットはテレビよりも1.1倍強い」というと、直感と合うかもしれません。

今のテレビコンテンツは面白くない?

 しかしながら、「テレビはネットよりもまだまだ強い」「テレビ万歳!」と言いたいわけではありません。すでに見てきたように、テレビの行為者率や視聴時間が近年減少したことは事実であり、なぜ近年テレビ視聴が減少したのか、という問題を考えてみたいのです。

 よく指摘されるのは、テレビのコンテンツが面白くないから、昔のテレビはもっと面白かった、というような理由です。確かに「最近、テレビ番組がつまらないと感じることが多い」とする人が8割にのぼる、というような調査もあります(スカパー、2015)。
本当に昔のテレビのほうが面白かったのかどうか、昔のテレビと現在のテレビの「質」を比較することは困難です。エピソード的になりますが、NHKのスタッフから筆者が聞いた話によると、昔のテレビ番組より、現在のテレビ番組のほうがより情報量が多いそうです。

 これはネットが発達したためです。昔は、いちいち調べるために遠くに出かけたりもしました。例えば、ひとつのことを調べるためにだけ東京から遠方の図書館に出張に行く、という具合です。今では豊富な情報がネットから入手できるようになり、テレビ制作の現場ではその恩恵を十分に得ていることになります。

田中洋/中央大学ビジネススクール教授

田中洋/中央大学ビジネススクール教授

京都大学博士(経済学)
日本マーケティング学会会長、日本消費者行動研究学会会長を歴任。
1975~1996 21年間、㈱電通勤務。
1996~1998 城西大学経済学部助教授
1998~2008 法政大学経営学部教授
2003・4年度コロンビア大学ビジネススクール客員研究員
2008~2022 中央大学ビジネススクール教授
2022~ 中央大学名誉教授
元・東証一部上場・ソウルドアウト株式会社社外取締役
関心領域:マーケティング論・ブランド論・広告論
田中洋 中央大学ビジネススクール教授のオフィシャルサイト

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