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住宅ジャーナリスト・山下和之の目

マンション、低層階住人が上層階&高額住戸住人の「言いなり」は許される?大規模修繕等で

文=山下和之/住宅ジャーナリスト

 庶民感覚でいえば、民主主義の原則に照らして選挙のように広さや価格などに関係なく1世帯1票にするのが平等のように思いますが、経済原理を考えればそれは行き過ぎた平等という人もいるでしょう。そんな人たちからすれば、世帯割合に基づく1世帯1票は、経済実態を無視した“悪平等”ということになるのかもしれません。

分譲価格はほんとうに客観的な数値か

 その点、持分割合に応じた議決権であれば、根拠が明らかですからある程度納得せざるを得ない面もありますが、価値割合となると絶対的な指標がありません。広さだけではなく、階数、向きのほか眺望、もっといえば最上階というプライドなど客観的に測れない要素がかなり入り込んできます。

 そもそも不動産会社は市場が好調なときには明確な根拠もなく「えいや」で値上げし、景気が悪いときには値下げします。原価積み上げなどの客観的な評価は難しいのが現実です。ある意味、思惑で決定される部分もある分譲価格で議決権割合が決定されてしまうことになります。

眺望などは不変の価値とはいえない

 しかも、眺望は何年かすれば近くに同じような建物ができて変わってしまうかもしれません。実際、著者は15年ほど前に37階建ての18階に入居しましたが、当初は富士山や東京タワーが見えたのに、その後建設されたビル群によって眺望は塞がれてしまいました。

 また、超高層の上層階の南向きは日差しを遮るものがなく、夏は暑過ぎて冷房費が馬鹿にならないという声も強まっています。最上階が一番という固定観念もいずれは見直されるかもしれません。

マンション価値は分譲後に変化する

 しかも、東京都心の南側の超高層マンションは、南向きより北向きの住戸のほうが都心への眺望が開けて夜景が美しい、暑苦しい南向きよりむしろ北向きのほうがいいという人もいます。
 
 にもかかわらず、国土交通省では分譲時の価格によって価値割合を決め、基本的には変更できないとしています。
 
 以上の内容を踏まえると、実際に価値割合の議決権を採用するマンションが出てくるのかどうか、疑問を感じざるを得ません。
(文=山下和之/住宅ジャーナリスト)

●山下和之(やました・かずゆき)
住宅ジャーナリスト。各種新聞・雑誌、ポータルサイトなどの取材・原稿制作のほか、単行本執筆、各種セミナー講師、メディア出演など多方面に活動。「山下和之のよい家選び」も好評。主な著書に『よくわかる不動産業界』(日本実業出版社)、『マイホーム購入トクする資金プランと税金対策』(学研プラス)など。

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