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「厳しい環境でも、ハングリー精神を持って学力を高めようと努力する子供がいるのは確かですが、それは一部の子供たちです。格差の底辺に置かれた子供の中には、学習や進学に対する意欲を失ってしまっているケースが多く存在します」(同)
その結果、引き起こされるのが「貧困の連鎖」だ。親の収入と子供の学力が比例する「教育格差」によって、貧困は解消されることなく連鎖する。それが、一番の問題だという。
「貧困の連鎖は、子供の将来の選択肢を絶ってしまい、低学力や低学歴となります。その場合、例えば就職では非正規雇用になりやすいなどの弊害を生んでしまいます。こうした連鎖を断ち切るには、やはり教育しかありません。
教育格差の是正が、貧困解消の鍵になると思います。子供が持っているポテンシャルを埋没させないためには、環境が非常に大切です。家庭が経済的に恵まれなかったとしても、能力の開花につながる場や人に出会える仕組みが必要です」(同)
日本の社会全体を考える上でも、教育格差の是正は重要な課題だ。現在、日本人の6人に1人は貧困状態にあるといわれているが、超高齢化社会を迎えるにあたって、国や社会が子供の教育への投資を怠る状態が続けば、どんな影響があるだろうか。
「本来、社会を支えるべき年齢の人たちの能力と労働力が、どんどん低下していきます。大人になってから就労トレーニングをすると、より多額の投資が必要になります。『子供たちがかわいそう』『教育機会の不均衡をなんとかしよう』という一元的な議論だけではなく、日本の将来のことを考えて、教育投資に力を入れていくことが必要です」(同)
教育投資の増加にあたっては、公教育に携わる教員の質を高めていくことや、ICT(情報通信技術)による低コストの学習インフラ整備なども、早急に求められるだろう。日本の社会が持続的に発展していくためにも、子供の教育機会が親の経済力によって制限されないような仕組みを構築することが急務ではないだろうか。
(文=末吉陽子)
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