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筈井利人「一刀両断エコノミクス」

【熊本地震】行政のお粗末対応で被災者飢餓&震災拡大…救援物資を滞留、救援の妨げに

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熊本地震で大きな被害を受けた益城町の避難所(「Abaca/アフロ」より)
 今月、熊本県を中心に九州を襲った大地震は、エコノミークラス症候群などの震災関連死を含め数十人もの死者と1000人以上のけが人を出したほか、9万人を超える人々を避難生活に追い込んだ。こうしたなかで、救援に責任を負うはずの行政に対応の遅れやまずさが目立つ。民間企業が東日本大震災などの経験を生かし、すばやく的確に行動しているのと対照的だ。これでは一刻を争う救援活動を主導するどころか、足を引っ張ることになりかねない。


 今月14日に起こった最初の大地震後、民間企業は迅速に行動した。まず注目されたのは、日常生活に密着し人々の命綱ともいえるコンビニエンスストアだ。大手コンビニ3社の店舗は、震災発生から1週間もたたないうちに熊本県内で大半が営業を再開。飲料水や食料品を優先的に出荷し、全国から応援社員を集めるなど、過去の震災で培ったノウハウを生かした。

 コンビニ以外でも、過去の経験に学んだ企業の活躍が目立つ。イオンは、被災者に風雨をしのげる避難場所を提供しようと、2004年の新潟県中越地震で使用した大型テントを提供。三井化学は、ストローで膨らますと枕やマットレスとしても使える「エア・ざぶとん」1000枚を届けた。11年の東日本大震災の際、取引先企業が、段ボールを敷いて寝ていた被災者の「床に敷くものがほしい」という声を聞いて開発したものだ。

過去の震災の失敗を繰り返し


 このように民間企業の周到な準備やすばやい行動が際立つ一方で、なんとももどかしいのが行政の対応だ。

 熊本県庁1階のホールではペットボトルの水や食料、生理用品などの救援物資が山積みにされたまま、各市町村や避難所になかなか届かない。「物資の仕分けなどを担当する職員が足りず、作業が追いつかない」といった県担当者の声が伝えられる。

 救援物資の配布には食料や衛生用品など仕分けが重要だが、行政は素人。東日本大震災でも支援物資の滞留が指摘され、仕分けを民間物流業者に任せることでようやく避難所に物資が届くようになった経緯がある。

 おもに福岡県の物流拠点から民間業者が市町村に直接、救援物資を送る枠組みがようやくできあがったのは、地震発生から数えて5日目の4月18日。東日本大震災の反省が生かされたとはいいにくい。