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垣田達哉「もうダマされない」

日清カップヌードルファンたちが「静かに」離れ始めている…中止CMへの嫌悪感

文=垣田達哉/消費者問題研究所代表
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 アイドルや俳優などが、特に男性の場合、結婚すると人気が落ちるといわれることがある。その原因の多くは、女性の「嫉妬」である。結婚することが悪いことではない。しかし、結婚することで好きだった芸能人が嫌いにならないまでも、それほど好きではなくなってしまうことがある。それは、理屈や良い悪いではない。その人の感情だ。

 芸能人は、曲の売上が多少下がろうが、出演した番組の視聴率が下がろうが、特に大きな問題にはならない。離れない固定ファンは多いし、それで活動が危うくなるわけでもない。

 ところが企業はそうではない。何かのきっかけで売上が1%でも落ちれば大変なことになる。それが継続すれば、致命傷になるかもしれない。特に、売上を左右するのは物言う消費者ではなく、物言わない消費者だ。クレームを言ってくれれば直すこともできるが、「何が不満か」を言わないで去っていく消費者のほうが圧倒的に多い。

物言わない消費者

 しかも、売上はすぐには落ちない。徐々に落ちていく。消費者は、事件でもない限り一斉には去っていかない。年数をかけて徐々に減っていく。目先の売上が上がっても、企業として安心できない。一時的に買う人が増えただけで、継続して買っていた人は減ったかもしれない。売上が上がっても、よかったかどうかはすぐには判断できないのだ。だからマーケティングは難しい。繰り返しになるが、消費行動は理屈ではないから、簡単に把握できるものではない。

 たとえば、今回の日清のCMで「不愉快だと思って日清にクレームを言った消費者」が一連の成り行きを見ていて、「クレームを言った人は悪い人だ。クレームなんか無視すればよい」という態度を少しでも日清が見せると、「せっかく私が親切に言ってあげたのに、言いがかりをつけたかのように思われるなんて許せない」となる。そして、日清を嫌いになるだろう。

 嫌いになった消費者は、カップヌードルだけが嫌いになるわけではない。日清という企業だけでも済まない。日清というブランドが嫌いになる。「日清グループでなくても、日清とついているだけですべて嫌!」になる。日清という名がつくものすべてに拒否反応を示すようになる。

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

1953年岐阜市生まれ。77年慶應義塾大学商学部卒業。食品問題のプロフェッショナル。放射能汚染、中国食品、O157、鳥インフルエンザ問題などの食の安全や、食育、食品表示問題の第一人者として、テレビ、新聞、雑誌、講演などで活躍する。『ビートたけしのTVタックル』『世界一受けたい授業』『クローズアップ現代』など、テレビでもおなじみの食の安全の探求者。新刊『面白いほどよくわかる「食品表示」』(商業界)、『選ぶならこっち!』(WAVE出版)、『買ってはいけない4~7』(金曜日)など著書多数。

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