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“半SF”映画としての『太陽』ーー演劇性重視のアプローチで描きわけた2つの世界

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【リアルサウンドより】

 まず、このような勇敢な作品が今の邦画界で生まれたことには、拍手をおくるべきだろう。明確な正義があるわけでなく、結末に幸福が約束されているわけでもない。安易なクローズショットや劇伴音楽による感情の説明も避けられ、かといって気取りも一切ない。作り手はただ、このフィクションに対し、世界の真実を見つめるかのごとく強い眼差しを向ける。そして、その気迫が観客となった我々にも感染するのだ。

 監督・入江悠の作品なので、このような事態が初というわけではない。インディーズ映画界を揺るがした『SR サイタマノラッパー』シリーズ。特に第3作目『〜ロードサイドの逃亡者』での圧倒的な熱量は、邦画史に焼け跡を残した。この『太陽』では、劇団イキウメを拠点に活動する前川知大とのコラボーレションの成果として、あの温度はそのままに、よりたくましく洗練されている。そして、入江悠が決してパワフルな勢いだけの監督ではないということが顕著になった作品だ。それは本作が「SF」というジャンル映画でもあることにも関わっている。ハリウッドのメジャースタジオなどがCGを多用できるのとは異なり、限られた予算の製作体制の中でSF映画を作り、それをリアルに感じさせるのは容易いことではない。考え抜かれた演出戦略が必要不可欠だ。

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