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雨宮寛二「新・IT革命」

グーグル、支配的地位乱用した他社への「強要」が問題化…EUが抗議で巨額制裁金か

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サイト「グーグル」より
 米アルファベット傘下のグーグルが推進するアンドロイド戦略が、軌道修正されようとしている――。

 グーグルはこれまでアンドロイドを「自由でオープンなソース」として、無償でスマートフォン(スマホ)メーカーや通信会社にソースコード(設計図)を開示して市場機会を創出し、牽引してきた。

 だが、「自由でオープン」といっても、100%の自由度を与えているわけではない。グーグルはアンドロイドを無償で提供することと引き換えに、検索を含むサービスのどれかひとつでも端末上で提供する場合には、グーグルのアプリ11個をあらかじめインストールするようメーカーや通信会社に強要している。もちろんその狙いは、広告収入に結び付けることにある。

『アップル、アマゾン、グーグルのイノベーション戦略』(雨宮寛二/エヌティティ出版)
 この点を問題視して先頃、欧州連合(EU)の欧州委員会がグーグルに対し、スマホのOS(基本ソフト)市場でアンドロイドの支配的地位を乱用しアプリの競争を排除しているとして、正式抗議に踏み切った。

 欧州委員会は今般送付したグーグルへの異議告知書のなかで、自社製アプリ搭載の要求は約8割に達するアンドロイドの市場シェアを背景にしたものであり、市場の支配的地位の乱用により競合企業のアプリを締め出している疑いがあると指摘している。

「公正競争の阻害」が「消費者の便益向上」につながらないことを考えれば、欧州委員会によるこの指摘には十分な正当性がある。一方でグーグルは米メディアの取材に対し、今回の問題を「グーグルのアプリがなくてもアンドロイドを使うことができる。最後は消費者が選ぶことだ」とコメントし反発している。

 だがこの発言は、「公正競争の阻害」という重要なポイントを無視して消費者を大義名分化しているという点で核心をついたものではなく、正当性はおろかまとを射たものでないことは明白であろう。

巨額制裁金以上の痛手


 過去にもEU競争法(独占禁止法)に触れる案件は存在した。米インテルの2009年のケースでは、コンピュータチップ市場から競合企業を排除するために、インテルが違法な反競争的慣習を続けているとして、EUは10億6,000万ユーロの制裁金を科している。

 また、米マイクロソフトの13年のケースでは、WindowsのInternet Explorer(IE)バンドル問題への対策が実施されていないとして、マイクロソフトに5億6,100万ユーロの制裁金が科されている。