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コールセンターは超過酷職場環境、は本当?体調不良で大量離職・暑い・トイレに行けない?

文=旭マチ子/清談社
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 どんな職業や職場でも、スタート当初は知識が足りないのは当然のことだ。そこから、日々の業務の中で仕事を覚え、次第に熟練度を上げていく。コルセンについてもそれは同じであり、コルセンだけが特別ではないという。

終盤で突然展開される著者の「思い込み」

 さらに驚かされたのは、同書を読み進めていくと、後半のまとめに入る部分で、突然脈絡のない話が展開されていることだ。それは、同書の副題にもなっている「過剰サービス労働」ついての話だが、なぜか都内で電車に乗っている人たちを例に展開される。

 例えば、電車内で携帯電話をいじり、音楽を聴く人たちを「殻にこもっている」と断定し、ホームで喧嘩をするサラリーマンや、エスカレーターに2列で並んで乗った親子が舌打ちされる光景を挙げ、「都会の人々は余裕がない」と結論付ける。

 そこから、かなり強引に、おそらくは最も述べたかった本書のテーマに迫っていく。要約すると、それは次のような内容だ。

「都会で働く人々は、サービス業に従事している者が大半。彼らは過剰なサービスを求められるあまり、ストレスが溜まって心に余裕がない。だから他人につらく当たってしまい、そのことで社会全体がギスギスしてしまっている。本来は人を幸せにするためのサービスが、過剰なために、かえって人々を不幸にしている。これでは本末転倒ではないか」

 コルセンのルポ本だと思っていた多くの読者は、この脈絡なく出てくる結論部分に面食らうのではないだろうか。違和感のある内容とはいえ、そこまで書かれてきたコルセンとはまったく関係がない上、この結論部分には明確な根拠すらない。著者の単なる「思い込み」が、コルセンルポの終盤で突然展開されるのだ。

「過剰サービス労働」批判に利用されたコルセン

 この唐突な「過剰サービス労働」批判は、インターネット通販の最大手「アマゾン」の例を持ち出して、ますます加速していく。

「アマゾンのシアトル本社が、プライベートを優先させる従業員をないがしろにしていることが明るみに出て、全米から非難を浴びている」という内容で、著者は自信たっぷりにこう続ける。

「日本では、従業員に無理な働き方を強いてまで、顧客サービスを優先させることが当たり前になっている。しかし、それは世界ではイレギュラーなのだ」

 しかし、この部分の記述も、明らかに首をひねりたくなるものだ。同書の序盤には、コルセンの労働形態について「コルセンはシフト勤務で、ある程度時間の融通が利く。だから、いつ仕事が入るかわからない俳優やお笑いタレントの卵といった、夢を追うタイプの人も多く働いている」という記述がある。

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